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あしあと

    矢野 公祥さん(2024年3月号掲載)

    • [更新日:2024年2月27日]

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    矢野 公祥(やの こうしょう)
    南都仏師。春日大社から「春日有職檜物師職預」の称号を授けられている。仏像彫刻工房「祥」では仏像彫刻が学べる教室も主催。77歳。中菜畑在住。

    仏を彫り、気付けば年後世に続く祈りの礎を築く

    カンカンと大きな音が工房に響く。はらはらと木くずが落ちて、また少し、獅子が形を現した。

    中菜畑にある工房で、木の仏像や狛犬などを作り続けて50年。手のひらより小さい千手観音像や1m近くある釈迦如来像まで、作品は大小さまざま。近くは往馬大社、遠くは千葉県の寺社に奉納し、作品総数は数えきれない。

    彫ること、物を作ることがとにかく好き。作業していたら、あっという間に1日が過ぎ、いつの間にか50年も経ってしまいました」


    彫刻や絵が子どもの頃から好きだった。「仏像を彫ってみたい」と思いながら過ごし、30歳頃に仏像彫刻の本と出会って、挑戦。自信はあったが、できあがった仏像の顔に納得がいかなかった。その悔しさから、本の著者である仏師・松久宗琳さんに会いに、京都へ。松久さんの元で仏像の彫り方を学びながら、仏像彫刻を始めて数年で、自分の教室を生駒で開いた。

    檜や楠、白檀などで仏像を彫る日々。そんな中、式年造替を控えた春日大社(奈良市)から「狛犬を作ってほしい」と依頼が舞い込んだ。鎌倉・室町時代に作られ、修理を繰り返していた狛犬で、平成28年の式年造替を機に新しく作り替えるという。春日大社の決まりで狛犬を作る部屋には、しめ縄が掲げられた。自身も豚や牛など四本足の肉を食べることを避けながら彫り、彩色。それぞれ姿が違う、計10体の狛犬を6年かけて作り上げた。

    「彫らせてもらえることはもちろん、完成したときの喜びは、ひとしおでした。今まで作ったものの中でも、思い出深い作品ですね」


    現在は、桑名宗社(通称、桑名春日神社。三重県)に納める獅子と狛犬を制作中。また、猿沢池付近のギャラリー「空音」では、毎週土曜日に生徒とともに作品を展示し、制作もしている。4月18日(木曜日)からは、芸術会館美楽来で29回目になる仏像彫刻美術展も予定しており、好きな彫刻に向き合う日々だ。

    「後世の人が作品を見たときに、『丁寧だな』と思ってもらえるように彫っています。好きなことができるのは、ありがたい。今後も、できる範囲で続けたいと思います」

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    [公開日:2024年3月1日]

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