三原 啓司 さん (2026年5月号掲載)
- [更新日:2026年4月28日]
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三原 啓司(みはら けいじ)
竹工房三原代表。県指定伝統工芸師。工芸の傍ら「半営半農」の暮らしを続ける。見つけた竹の中には、100年に1本あるかどうかという貴重なものも。本市在住。
後世に残る技を磨き 恩を次の世代へつなぐ
竹を削る刃物の音が、工房に静かに響く。手がけているのは、柄杓や茶杓、花入など、およそ竹で作られる全ての茶具。毎日のように山へ入り、材料となる竹を選び抜く。水を入れても漏れないことなどさまざまな配慮が必要な柄杓は、化学糊を使わず、はめ込み式で組み上げる伝統的な製法で作られる。習得には10年以上を要し、この製法を担う職人は日本で2人しかいない。
茶具の制作は流派だけでなく、使う場所や使う人の背格好に合わせ、所作がしやすい寸法や形に1mm以下の単位で整える繊細な作業だ。オーダーメイドで仕上げ、日常の茶の時間から格式ある場で使う道具まで、厳選した材料と熟練の技術で一つ一つ丁寧に制作している。
「見るたびに『いいな』と思えるものを作ることをたいせつにしています。そういうものが何千年も何万年も後世に残ると思うんです
竹工芸の家に生まれ、幼少期から家業に触れる。18歳の頃には、のこぎりを背負い、全国の山を巡って竹を見極め、採取する修行に明け暮れた。やがて家督を継ぎ、竹の分野の専門家として茶道の家元のもとで道具づくりに携わり、腕を磨き、目も養った。個展も重ね、制作した茶具は皇室やイギリスのエリザベス女王に献上された他、ミシュランガイド掲載の料理店で使用されるなど世界でも認められている。
「使ってもらったときに『鳥肌が立った』と言われたことも。この道を長く続けてきて、今になってやっと、自分でも納得できるものを作れるようになったと思っています」
現在は卓越した技を土台に、次世代へ竹文化を伝える活動も展開する。生駒市指定文化財に指定された「文政13年おかげ参り柄杓(表紙掲載)」の再現や、リニューアルする図書館本館内に設置される竹細工の制作に取り組む他、こどもから専門家まで幅広い層への講演や茶杓削り教室の講師も務めている。こうした活動の根底にあるのは、「恩送り」の考え方だ。
「自分もこれまで多くの人に助けてもらってきました。『お返しはいらないから次の世代に渡して』と言われたことがあり、損得ではなく、頼まれたことにはできる限り応えたいんです」
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