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あしあと

    地球環境セミナー「気候変動と脱炭素社会」

    • [更新日:2020年5月13日]

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     2020年2月15日(土曜日)、南コミュニティセンターせせらぎ小ホールにおいて、国立環境研究所と生駒市との共催により、地球環境セミナー「気候変動と脱炭素社会」を開催しました。国立環境研究所から研究の第一線で活躍される講師陣にお越しいただき、会場は約120人の来場者で満員となりました。
     セミナーでは、国立環境研究所の江守正多氏、塩竈秀夫氏、藤田壮氏の3名、さらに本市で環境・エネルギー問題に取り組む(一社)市民エネルギー生駒の楠正志氏、そして小紫雅史生駒市長らが講演し、その後、会場からの質問に答えるパネルディスカッションを行いました。

     *当日の講演資料は、http://www.cger.nies.go.jp/ja/news/2020/200221.htmlからご覧いただけます。

    講演内容

    講演1:「「脱炭素社会」構築に必要な『大転換(トランスフォーメーション)』」

    ・講演者:江守正多(国立環境研究所地球環境研究センター副センター長)

     温暖化は一直線に進むものではなく、止まっているように思われた時期もあるが、確実に進行しているという現状のもとで、地球の平均気温の上昇を2℃より十分低く、できれば1.5℃におさえるという目的を掲げた2015年のパリ協定の意義が語られました。パリ協定の目的達成のためには「今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収の均衡を達成する」ことが求められます。
     さらに、世界各国で、パリ協定の目標達成に向けたムーブメントが起こっていることが紹介されました。学生を中心に「次世代という利害関係者」が学校ストライキを行うなど、世代を越えて、700万人以上が行動に参加しているとのことです。
     では、どのように2050年に二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを達成するのか。この目標は、イヤイヤ努力して達成できる目標ではなく、その時々で可能な取組を積み重ねることで、“発電時にはCO2が排出される”という常識そのものが変わり、脱炭素社会が実現できるという「大転換(トランスフォーメーション)」に向けた大きな道筋が示されました。

    講演1の様子

    講演2:「最近の異常気象は地球温暖化のせい?将来はどうなる?」

    ・講演者:塩竈秀夫(国立環境研究所地球環境研究センター室長)

     科学者の立場から、温暖化と異常気象の関係を説明されました。異常気象の原因は地球温暖化によるのか? この答えは気候災害が身近に頻発する中で当然のように思われます。しかし、実際には気候には自然の揺らぎがあり、人類がいなくても猛暑や干ばつは発生するため、個別の事象(異常気象)が温暖化のせいかそうでないかを示すのは、これまで簡単ではありませんでした。
     この関係性は、全球気候モデル(GCM)を用いることで説明でき、例えば記憶に新しい2018年の猛暑は温暖化がなければ発生可能性はほぼ0%であったこと、7月の豪雨による降水量が温暖化の影響で6.5%増加していたこと等が解説されました。温暖化の影響は誤魔化すことができず、まさに科学によって証明されているのです。
     また、温暖化を抑えるために相当な努力をしたとしても、完全におさえることは困難であり、暑さのために野外労働できる時間が減るなど、避けられない影響がでてきます。そのため、気候変動適応法(平成30年法律第50号)が整備されたところであり、CO2削減の努力とともに、「適応」の必要性も指摘されました。

    講演2の様子

    講演3:「地域エネルギー事業からの循環共生とSDGsまちづくりへの展開」

    ・講演者:藤田壮(国立環境研究所社会環境システム研究センター長)

     藤田氏は、内閣府の自治体SDGs推進評価・検討調査委員会委員も務めておられます。冒頭、持続可能な開発目標(SDGs)は社会転換のための国際規範であり、SDGsに示される17のゴール(指標)を相互に関連付けて考え、2050年に目指すべきゴールに向け、先導すべきパイロット事業に取り組むことが、社会転換につながると話されました。また、環境省が推進する「地域循環共生圏」構想は、「日本版SDGs」であり、地域の社会転換を図るものであると、両者の関係を説明されました。
     そして、社会転換の切り札の一つとして紹介されたのが、まさに、本市でも取り組んでいる地域新電力事業です。地域新電力(=「エネルギー」)をきっかけに、「環境」から「経済」、「森林保全」、「教育」、「公民連携」等々、SDGsの指標に示される様々な分野の向上につながる展開が可能となるためです。
     本市に対しても、気候行動に向けたイノベーション(変革)を実現する「脱炭素社会のショーケース」になってほしいと、熱い期待とエールをいただきました。

    講演3の様子

    講演4:「地球環境のピンチをまちづくりのチャンスに変える」

    ・講演者:小紫雅史(生駒市長)

     小紫市長からは、まちづくり全体の中で環境問題に取り組むことで、2050年実質ゼロを展望できるとの問題意識から、2つの取組を紹介しました。
     1つは、現在生駒市が力を入れている取組で、資源ごみの回収・リサイクル、移動支援、健康づくり、不用品交換等の様々な機能を持つ複合型コミュニティステーションを100カ所に展開し、生活利便性の向上や地域課題の解決を図るという取組です。身近に利便性の高い拠点ができることで車の利用が減るなど、CO2削減にもつながります。
     もう1つは、「いこま市民パワー株式会社」を中心とするまちづくりの推進です。電力事業による経済活性化に加え、エネルギーの地産地消や収益を活用したコミュニティサービスにより、経済・社会・環境の3側面から効果的な取組となります。今後の展開として、家庭における固定価格での買取期間が終了(卒FIT)した電源や、太陽光発電を非FITで新設するなどいこま市民パワーの電源を確保し、新しい地産地消エネルギーモデルの実現を目指します。
     これらの、環境問題を切り口にしたまちづくりで「地域循環共生圏」の具体化に取り組むことにより、環境問題をセクシー(魅力的)にしたい、と話しました。

    講演4の様子
    コミュニティステーションの概要

    講演5:「エネルギーから考える市民によるまちづくり」

    ・講演者:楠正志(市民エネルギー生駒代表理事)

     楠氏からは、市民エネルギー生駒の代表理事として、100%市民出資で実現した太陽光発電事業が紹介されました。運営する太陽光発電は4基計約200kW、発電による収益はふるさと納税等で地域に還元されています。会員として、太陽光発電を運営するための技術、経理、広報等の企業経験・資格を有するアクティブシニアが結集しています。
     1号機1,700万円の資金調達にあたって、有力な知人に呼びかけ、17人から100万円ずつ集めるほうが簡単でした。しかし、それでは「市民共同」発電所にはならないと、1口10万円1人2口までの条件で広く出資を募りました。当初は不安もありましたが、結果として資金は集まり完成しました。この時に出資した方の約8割が生駒市民だったとのことです。
     会場に向けて、これらの“創エネ”の取組は、“省エネ”の取組と両輪であり、市民一人ひとりが、市と連携して環境問題に参画し、SDGsを達成しよう、と力強く会場に呼びかけられました。

    講演5の様子

    パネルディスカッション

     パネルディスカッションでは、多くの質問が寄せられ、その一つ一つにパネリストが回答しました。その中で、発電量が安定しない再生可能エネルギーであっても、複合化して蓄電池を組み合わせると電源の80%まで導入できるとの仮説、電力の地産地消を進めることで送電線に余裕ができるため送電網強化にとって代わることができる等の情報提供がありました。
    パネルディスカッションの様子

    まとめ

     生駒市だけでなく、全国で立ち上がりつつある多くの地域新電力にとって、獲得すべき電源は再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーを電源として大幅に利用することが可能であり、また、それが送電網強化というインフラに係る経費抑制として貢献できるということは、地域新電力の意義をさらに高めるものだと感じました。
     生駒市は、環境モデル都市(2014年3月)に続いてSDGs未来都市(2019年7月)に選定され、さらに「ゼロカーボン宣言」(2019年11月)を行いました。これからも挑戦する姿勢を忘れず、2050年にCO2排出量を実質ゼロにするという高い目標の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。

    お問い合わせ

    生駒市地域活力創生部SDGs推進課

    電話: 0743-74-1111 内線(SDGs推進係:2111、低炭素まちづくり推進係:2121、公民連携係:2130)

    ファクス: 0743-74-9100

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    [公開日:2020年5月13日]

    ID:21621