平成19年度生駒市教育委員会第5回定例会提出 第2次報告
- [更新日:2015年9月2日]
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さらなる教育施策の充実を
平成19年5月
子どもたちの確かな学力育成のための検討委員会
はじめに
昨年12月に60年ぶりに教育基本法が改正されたことをはじめ、学校教育法等改正教育3法が現在国会で審議されるなど、最近のわが国の教育、特に学校教育に対する関心は、平成13年度の教育改革以来の大きな高まりとなっています。
本委員会においては、これからの社会を生きる子どもたちにとって大切な「生きる力」を身につけさせるために、「豊かな人間性」や「健康と体力」とともに必要な要素である「確かな学力」をどのように育成すればいいのか、平成18年7月に第1回を開催して以来、テーマを設定し検討を重ねてまいりました。
確かな学力の育成につきましては、知識や技能の習得とりわけ基礎・基本の定着を保障するということと、自ら学び考える力をつけることの2つの命題があり、この2つを叶える方策の一つとして、今回少人数教育に関する「第2次報告」を行うものであります。
少人数教育に関する論議は以前から全国的に関心が高く、一部の自治体で既に先行実施されており、これらの事例や本市の少人数教育の一部事例を検証しながら、子どもたちの発達段階や理解の状況に応じて、子ども一人ひとりが学ぶ楽しさが実感でき、主体的に学ぶ態度を育てるために、保護者、現場の管理者や教職員がそれぞれの視点で検討したものであります。
この度の報告は学校での取り組みが中心ではありますが、家庭、地域との連携にも言及しており、今後も確かな学力の育成に関する検討を行うに際して、学校、家庭、地域社会が協調してよりよい方策を見出していく必要があることを申し添えます。
平成19年5月29日
生駒市教育委員会
教育長 早川 英雄 殿
子どもたちの確かな学力育成のための検討委員会
委員長 岩田 憲一
1 委員会の設置目的
本市の学校教育は、情報教育特区や奈良先端科学技術大学院大学との連携に見られるように、21世紀に必要とされる基礎基本を的確に捉え、確かな学力の定着をめざして取り組みを積極的に推進しているところであります。
今般の国における教育改革の動向と本市の教育ニーズを踏まえ、これからの社会を担う子どもたちが主体的、創造的に生きていくため、さらなる教育施策を展開すべく、子どもたちの確かな学力育成のための検討委員会(以下「委員会」という)を置くものです。
2 委員会の調査研究事項
委員会では、設置要綱第2条に掲げる所掌事務について調査、研究を行います。
(1)少人数教育(少人数学級、少人数指導(ティーム・ティーチング、習熟度別授業)に関すること。
(2)子育て支援に関すること。
(3)その他学力育成に関し必要な事項
3 委員会の構成
委員会は、設置要綱第3条の規定により、12名以内の委員をもって構成。
生駒市PTA協議会代表3名、生駒市教職員組合、生駒市公立学校教職員組合、生駒市職員組合、生駒市園長会、小学校長会、中学校長会の代表各1名、校園長会長、教頭会長計11名。(平成19年度退職により2名交替、委員長改選)
(順不同、敬称略)
委員長 森井 惠治 生駒市小学校校長会(平成18年7月24日~平成19年3月31日)
委員長 岩田 憲一 生駒市中学校校長会(平成19年4月19日~)
副委員長 春見 祥司 生駒市PTA協議会
委員 阿部 久美子 生駒市PTA協議会
委員 田中 年男 生駒市PTA協議会
委員 藤本 誓子 生駒市職員労働組合
委員 西村 徹 生駒市教職員組合
委員 井上 宝 生駒市公立学校教職員組合
委員 岩田 憲一 生駒市校園長会会長(平成18年7月24日~平成19年3月31日)
委員 森脇 彬 生駒市校園長会会長(平成19年4月19日~)
委員 朽木 丈二 生駒市小学校・中学校教頭会会長
委員 辻野 トシ子 生駒市幼稚園園長会
委員 岩谷 一徳 生駒市中学校校長会(平成18年7月24日~平成19年3月31日)
委員 正田 博司 生駒市小学校校長会(平成19年4月19日~)
4 委員会の開催状況
平成18年度
第1回
- 日時
平成18年7月24日(月曜日) 15時00分~16時00分 - 場所
市役所401・402会議室 - 主な案件
・委員会の概要説明
・今後の会議の進め方について
第2回
- 日時
平成18年8月23日(水曜日) 14時30分~16時30分 - 場所
市役所401・402会議室 - 主な案件
・生駒市の教育行政の状況
・3所掌事務の具体的な方策について
第3回
- 日時
平成18年10月31日(火曜日) 14時30分~17時25分 - 場所
市役所401・402会議室 - 主な案件
・少人数教育の現状について
第4回
- 日時
平成18年11月30日(木曜日) 14時30分~16時50分 - 場所
市役所401・402会議室 - 主な案件
・少人数指導・少人数学級の効果と課題について
第5回
- 日時
平成19年1月29日(月曜日) 14時30分~17時00分 - 場所
市役所403・404会議室 - 主な案件
・少人数指導・少人数学級の具体的な方策について
第6回
- 日時
平成19年2月19日(火曜日) 14時30分~17時10分 - 場所
市役所403・404会議室 - 主な案件
・30人学級の実施について
平成19年度
第1回
- 日時
平成19年4月19日(木曜日) 14時30分~16時50分 - 場所
市役所401・402会議室 - 主な案件
・30人学級の実施方法について(低学年)
5 委員会の会議、会議録の公開
(1)会議の公開方法 制限公開又は完全公開
(2)会議録の公開方法 次回開催の会議にて承認後、市ホームページ等を通じて公開
6 調査研究事項
- 所掌事務
少人数教育(少人数学級、少人数指導(ティーム・ティーチング、習熟度別授業)に関すること。
現状
奈良県教育委員会の学級編制基準は、小・中学校1学級の児童・生徒数は40人で国の示す標準(標準法)どおりである。ただし、平成13年に標準法が一部改正され、都道府県教育委員会は、児童生徒の実態に考慮して学級編制を弾力的に措置できるようになったことから、県教委は平成15年度から原則として小学校低学年(第1~3学年)、中学校第1学年における35人学級編制の研究指定を開始し、本市でも平成16年度に生駒台小、光明中の2校で少人数学級の実施が始まった。最近の実施状況は、次頁のとおりである。
また、少人数指導については、以前から県教委で「少人数指導等のきめ細かな指導の実施のための教員配置要項」が設けられており、小学校は国語、社会、算数、理科、生活科及び総合的な学習の時間、中学校は国語、社会、数学、理科、英語及び総合的な学習の時間の範囲において、ほとんどの小・中学校で実施されており、さらに一部で教科担任制を導入している小学校もある。
少人数加配状況
小学校
生駒小学校
- 平成18年度
少人数指導 3
計 3 - 平成19年度
少人数指導 3
計 3
生駒南小学校
- 平成18年度
少人数指導 1
計 1 - 平成19年度
少人数指導 1
計 1
生駒北小学校
- 平成18年度
少人数指導 1
計 1 - 平成19年度
少人数指導 1
計 1
生駒台小学校
- 平成18年度
少人数指導 3
計 3 - 平成19年度
少人数指導 3
計 3
生駒東小学校
- 平成18年度
少人数指導 2
計 2 - 平成19年度
少人数指導 2
計 2
真弓小学校
- 平成18年度
少人数学級 1(2年)
少人数指導 0
計 1 - 平成19年度
少人数指導 1
計 1
俵口小学校
- 平成18年度
少人数学級 2(1・6年)
少人数指導 1
計 3 - 平成19年度
少人数学級 1(1年)
少人数指導 2
計 3
鹿ノ台小学校
- 平成18年度
少人数学級 1(1年)
少人数指導 0
計 1 - 平成19年度
少人数学級 1(1年)
少人数指導 0
計 1
桜ヶ丘小学校
- 平成18年度
少人数指導 1
計 1 - 平成19年度
少人数指導 1
計 1
あすか野小学校
- 平成18年度
少人数指導
計 1 - 平成19年度
少人数指導 1
計 1
壱分小学校
- 平成18年度
少人数学級 1(6年)
少人数指導 1
計 2 - 平成19年度
少人数指導 2
計 2
生駒南第二小学校
- 平成18年度
少人数指導 1
計 1 - 平成19年度
少人数指導 1
計 1
計
- 平成18年度
少人数学級 5
少人数指導 15
計 20 - 平成19年度
少人数学級 2
少人数指導 18
計 20
中学校
生駒中学校
- 平成18年度
少人数学級 1(2年)
少人数指導 1
計 2 - 平成19年度
少人数学級 1(3年)
少人数指導 1
計 2
生駒南中学校
- 平成18年度
少人数指導 1
計 1 - 平成19年度
少人数指導 1
計 1
生駒北中学校
- 平成18年度
少人数指導 1
計 1 - 平成19年度
少人数指導 1
計 1
緑ヶ丘中学校
- 平成18年度
少人数学級 1(3年)
少人数指導 1
計 2 - 平成19年度
少人数指導 2
計 2
鹿ノ台中学校
- 平成18年度
少人数指導 1
計 1 - 平成19年度
少人数指導 1
計 1
上中学校
- 平成18年度
少人数指導 2
計 2 - 平成19年度
少人数指導 2
計 2
光明中学校
- 平成18年度
少人数学級 1(3年)
少人数指導 1
計 2 - 平成19年度
少人数学級 1(2年)
少人数指導 1
計 2
大瀬中学校
- 平成18年度
少人数指導 2
計 2 - 平成19年度
少人数指導 2
計 2
計
- 平成18年度
少人数学級 3
少人数指導 10
計 13 - 平成19年度
少人数学級 2
少人数指導 11
計 13
小学校・中学校 合計
- 平成18年度
少人数学級 8
少人数指導 25
計 33 - 平成19年度
少人数学級 4
少人数指導 29
計 33
7 検討内容(主な意見)
少人数教育(少人数学級・少人数指導)の効果と課題を明らかにするため、「学習面」と「生活面」という2つの観点に焦点をあてて調査・検討を行った。その主な意見は次のとおりである。
1 少人数学級
学習面 効果
1 個に応じた指導の充実
教師の目が子ども一人ひとりに行き届くことで、個別指導の機会、発表の機会、質問の機会が増加し、子どもたちの学習への意欲の向上につながる。
(1)個別指導の時間を十分に確保し、きめ細かく指導できる。
(2)特に小学校では、子ども一人ひとりの理解度や活動状況が把握できる。
(3)上記項目の評価のもとに、すぐ次の指導に生かせるため、子どもたちの意欲向上につながる。
(4)個に応じたきめ細かな指導をすることで基礎・基本の学習事項が定着する。
(5)一人ひとりの課題にあわせた指導によって、理解の遅い子どもの学習活動が促進される。
(6)特別に支援が必要な子どもにも、ゆとりをもって対応ができる。
(7)一人ひとりが発表したり、体験したりする時間がとれる。
(8)発表の機会が増えることで、一人ひとりの子どもが意欲的に授業参加できる。
(9)発言、発表の機会が増えることや、教師との会話も増え、話す、聞くの態度がよくなる。
(10)教師の気持ちに余裕ができ、子どもに学習面でのつまずきがあっても、リアルタイムに対応ができ、子どもも安心感が得られる。
2 多様な学習形態の実現が図れる
教室に生まれた空間的な余裕を活用することで、机の配置や学習グループの構成を工夫するなど、多様な学習形態の実現が可能になる。また、学級増に伴う教師数の増加により、他クラスとの合同授業や学年での活動がしやすくなる。
(11)教室の空いたスペースを有効活用することで、多様な学習形態を取り入れることができる。
(12)指導内容に応じて、様々な机の配置が可能になる。
(13)個人指導時も教室内の移動が円滑にできる。
(14)教室空間にゆとりがあるため、理解度に応じて、子どもたちを集めて指導しやすい。
(15)合同授業では、教師数が増えるので、子どもたちの興味、関心や課題にそってコース数を増やすことが可能。
(16)複数学級での合同授業では、人数が少ないので子どもたちの活動の掌握が容易である。また、クラス間の交流という意味からも友達の輪が他のクラスにも広がっていく。
(17)体育の授業で2クラス合同の授業を行う場合、1人の教師による全体指導が可能で、もう1人が個別に技術指導が可能。
3 教材研究の充実が図れる
子どもの人数が減少することに伴って教師の事務量が軽減される。これによって生まれた時間を教材研究に使うことができるため、より質の高い授業が可能になる。
(18)事務にかかる時間が減り、教材研究に時間をかけられる。
(19)子どものニーズや興味、関心に合った資料や教材、教具を準備することができ、学習意欲を高めることができる。
学習面 課題
1 指導法の確立
少人数学級の特性を生かし、学級の人数に応じた指導法が十分に確立されていない。
(1)子どもの数を減らせば望ましい教育ができるとは限らず、「教師の資質向上」が求められ、教師への支援・指導が必要になる。
2 教師と子どもの意識の違い
少人数学級であっても教師と子どもの意識に差が見られる。
(2)教師の目が行き届きすぎることにより、緊張感や精神的なプレッシャーを感じたり、受け身の学習態度になったりする場合がある。
3 学力との関係
学力については、少人数学級の実施による明らかな効果は確証されていない。少人数学級と学力の関係は、今後も検証を続けていく必要がある。
(3)少人数学級といえども、理解度にはどうしても差が出る。教科によっては少人数指導でクラスを分けるなど、理解の早さの違いに対応する手立てを工夫する必要がある。
(4)集団ゲームや表現活動など、教科によってはある程度の人数が必要な場合がある。
(5)少人数の良さもあるが、学習時以外には大きな集団から学ぶこと、得ることも多いと考えられる。
4 学校や学年との関係
(6)中学校での少人数学級編制は、教科担任制のため教職員の配置が難しい。
(7)小学校では、小規模校と大規模校との格差問題をまずクリアしていくことが先決である。
(8)特定の学年だけの導入は学校全体でアンバランスとなるので、学年をまたがる少人数指導を行った方がよい場合がある。
生活面 効果
1 個に応じた指導の充実
教師の目が子ども一人ひとりに行き届くようになることで、個に応じた生活指導が可能になり、子どもたちに基本的生活習慣が身に付く。
(1)個に応じて、時間をかけ、ていねいな指導ができる。
(2)始業前に全員の連絡帳に目を通すことができる。
2 温かい人間関係の深まり
「子ども同士」「子どもと教師」「教師と保護者」が触れ合う機会が多くなることにより、それぞれの人間関係が深まる。
(3)子ども同士の関わり合いが多くなり、友人関係を結びやすい。
(4)一人ひとりの子どもたちに触れ合う割合が多くなり、子どもと教師の人間関係に深まりができる。
(5)少人数の学級であることで、教師と子どもたちとの会話も多くなり、アットホームな学級づくりができる。
(6)家庭連絡や家庭訪問等、家庭との連携を密にできる。
生活面 課題
1 教師のかかわり
子どもたちにきめ細かな指導が可能になる反面、教師が子どもに細かいことまで指示しすぎると、子どもの自立心や自主性が培われないことがある。
(1)教師が子どもに細かいことまで指示しすぎると、子どもの自立心や自主性が培われないことがある。
(2)子どもの実態把握はしやすくなるが、教師としてそれを指導に生かせるよう指導法を工夫する必要がある。
2 学級人数の不足
多くの子どもと触れ合う機会が少なくなることで、交友関係が限定される面や切磋琢磨という面では十分でないことも起こりうる。また、固定された少人数でいることを苦痛に感じる子どももおり、少人数学級をストレスに感じる場合もある。
(3)交友関係が限定される面や切磋琢磨という面では十分でないことも考えられる。人間関係や人間形成の成長過程において直面する様々な問題に対応できる力を養うことができるかが疑問である。
(4)固定された少人数でいることを苦痛に感じたり、少人数学級をストレスに感じる場合がある。
2 少人数指導
学習面 効果
1 個に応じた指導の充実
教師の目が子ども一人ひとりに行き届くようになることで、個別指導の機会や質問の機会等が増加し、子どもたちの学習意欲の向上につながっている。
(1)子ども一人ひとりの理解度や習熟度のチェックを短時間で行うことができる。
(2)個に応じたきめ細かな指導により、基礎・基本の学習事項が定着する。
(3)理解の遅い子どもの学習活動が促進される。
(4)個別指導の時間を十分に確保した学習過程を組み、きめ細かい指導ができる。
(5)発表の機会が増えることで、一人ひとりの子どもが、積極的に手をあげたり、意欲的に授業参加できる。
(6)子どもたちにも好評で、少人数の授業を楽しみにしている。
(7)他教科学習においても、生き生きと学習する子どもが増えている。
2 多様な学習形態の実現が図れる
複数の教師の連携により、多様な学習形態による授業の展開が可能である。また、学年や教科、単元等に応じて柔軟に学習集団を編制することもできる。
(8)学年や教科、単元、あるいは子どもの実態等に応じて柔軟に学習集団を編制できる。
(9)子どもたちの学習の理解度に応じた集団編制ができ、よりきめ細かい指導が可能になる。
(10)習熟度別の学習を行うことで、子どもたちは各々の理解やペースに応じて学習し、意欲的に取り組むことができる。
3 教材研究の充実が図れる
少人数指導担当の教師と担任教師が協力して教材研究を行うことで、より質の高い授業が実現できる。
(11)少人数指導担当の教師は、担任を持たずに担当教科の授業に専念できるため、他教師に比べ教材研究に十分な時間をかけることができる。
学習面 課題
1 指導法の確立
学習集団を分けて指導を行う場合の考え方や方法など、少人数指導における指導法が十分に確立されていない。
(1)習熟度や課題別等のコース設定をどのようにしていくか、工夫が必要である。
(2)子どもの数を減らせば望ましい教育ができるわけではなく、「教師の資質向上」が求められ、教師への支援・指導が必要になる。
(3)学習集団を分けて指導を行う場合の考え方、方法など少人数指導における指導法について、効果的な実施方法の検討と児童・生徒の理解を得る必要がある。
2 教師同士の打ち合わせ時間の確保
複数の教師により指導を行うため、事前に打ち合わせを行っておく必要があるが、その時間を確保することが難しいことがある。
(4)複数教師による指導を行うため、事前に打合せを行っておく必要があるが、その時間の確保を要する。
生活面 効果
1 複数の教師による指導の充実
複数の教師によって子どもたちを見ることができるため、少人数指導担当と担任教師が連携して生活面での指導に生かすことができる。
(1)担任の目の届かない子どもの生活の様子や行動を知る機会があり、担任と協力して、いじめ問題など生徒指導について協力できる。
(2)子どもが担任に言いにくいことを相談しやすい。
(3)複数の目で見て指導できる。
(4)より多くの教科の教師と係わる機会が増え、人間関係を築き、人間形成を図ることができる。
生活面 課題
1 複数の教師による指導への戸惑い
特に小学校低学年においては、教科や単元によって教師が変わることで、子どもが戸惑うことがある。
(1)小学校低学年には教科、単元の教師がかわることで、戸惑うことがある。
8 調査・検討の結果
義務教育では、子ども同士や子どもと教師との「温かい人間関係」を育むことが欠かせない。その環境のもとで「わかる授業」を実現し、確かな学力の定着を図ることが教育の目的である。
委員会では、少人数学級や少人数指導のそれぞれの効果や課題を検証した結果、今後の方向性として、「少人数学級と少人数指導の実施形態」「少人数学級の効果を高めるための方策」の2点から、具体的な方策について提言を行う。
9 今後の方向性について 具体的な方策
1 少人数学級と少人数指導の実施形態
(1)小学校の場合
1 低学年での少人数学級の実施
小学校低学年では、幼稚園・保育園と比べて、生活環境や学習環境が大きく変化する。
この時期は、子どもたちの情緒を安定させ、基本的な生活習慣と学習習慣を身に付けさせるため、担任教師がゆとりを持って子ども一人ひとりにきめ細かな指導を行う必要がある。
そこで、生活と学習が調和できるよう、小学校低学年で少人数学級を実施し、教育条件の拡充を図ることが望まれる。
2 高学年での少人数指導の実施
小学校高学年では、学習における理解の早さや理解度に個人差が広がる傾向がある。
教師が連携して、多様な学習形態(ティーム・ティーチング、習熟度別授業)を導入しながら、個に応じたきめ細かな指導を行い、確かな学力の定着を図ることが求められている。
いじめ問題などに対して、早い段階から子どもたちへの指導を行い、まとまりのある生活集団として整備するため、より多くの教師と関わることが望まれる。
(2)中学校の場合
中学校については、少人数学級や少人数指導の導入について積極的な意見とともに懸念すべき事項についても意見が出されたほか、導入する学年についても意見が分かれた。
積極的な意見としては、「小学校からの円滑な移行を図るため、中学1年生において、きめ細かな指導ができる少人数学級や少人数指導の導入が望ましい」「より一人ひとりに応じた進路指導が可能となることから、中学3年生に少人数学級の導入を行う」「教科によっては、できる子とつまずいている子に二極化する傾向にあり、習熟度別に少人数指導をしていく必要がある」というものである。
また、懸念事項としては、「中学生は多感な時期でもあり、小集団となって目が届きすぎることによるマイナス面を考慮する必要がある」という意見があったほか、「中学校に少人数学級や少人数指導を導入するのではなく、課題がある学校に教員を加配することも考えられる」という意見もあった。
以上のことから、中学校については、よりよい学習環境整備のため、引き続き調査研究を重ねる必要があると考えられる。よって、小学校における少人数学級や少人数指導の導入後の効果や課題を検証するとともに、「どのような学級規模が適切なのか」「どのような学習形態が適切なのか」など、あらゆる角度から引き続き検討を行い、できるだけ早期に最良の方策を取り入れることができるよう努めたい。
2 少人数学級の効果を高めるための方策
(1)30人学級編制
平成15年度から奈良県教育委員会の同意を得て実施している少人数学級編制については、小学校低学年(第1~3学年)、中学校第1学年で35人以上の学級を有する学年で実施されていることを鑑み、本市独自の施策としては、よりきめ細かい教育を進めるために、30人学級編制での実施が望まれる。
(2)実施時期
生駒市独自の30人学級については、人的には資質の備わった教職員の確保と、物的には教室の確保も必要不可欠である。また、実施手法についても、教育現場及び教育環境への影響に配慮しながら、時宜を得た段階で計画的、段階的に実施することが望まれる。
(3)有能な教職員の確保
30人学級編制の実施に伴う市費の教職員については、同制度の効果を十分に上げるために、教師の技量が不可欠であることから、有能な人材の確保が図られるよう雇用条件の整備に努めるとともに、奈良県教育委員会をはじめとした関係機関の理解と協力を得る必要がある。
(4)教師の指導力の向上
少人数学級や少人数指導は、学級規模の人数を少なくして環境を変えただけでは、多くの効果は期待できない。
少人数学級や少人数指導を効果的に展開できる指導方法の確立と教科を含め、学級経営や対人関係スキルなど、教師の専門性を高める研修等、教師の指導力向上を図ることが必要である。
(5)学校・家庭・地域の連携
少人数学級や少人数指導をより効果的に実施するにあたっては、学校や家庭、地域が連携して共に考え、協働して学校教育に取り組むことが求められている。
1 学校からの情報の発信
保護者や地域の人々の少人数学級や少人数指導に対する関心を高めるために、学校がその実践や効果を公開・公表するなど、学校情報の提供に積極的な取り組みをすることが必要である。
2 地域人材の積極的な活用
少人数学級や少人数指導をより効果的に推進していくために、学校や地域の実情に応じ、PTA、老人会、NPOなどの地域の人材をボランティア(=スクールボランティア)として募集し、子どもたちへの学習支援を願うなど、地域力を積極的に活用していくことが必要である。
おわりに
3つの所掌事務のうち、第一次報告の「子育て支援」に関する方策に続き、今回、「少人数教育」に関する方策について提言するにいたりましたが、残るもう一つの所掌事務である「その他学力育成に関し必要な事項」につきましては、今般の教育基本法改正による関連法案等の状況や今後の国における教育改革の動向を見極め、調査研究を行っていく必要があり、学校・家庭・地域との連携を大切にしつつ、生駒市独自のさらなる教育施策を生み出せるよう、今後も調査研究に努めたいと考えておりますので、ご了承を願います。
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