おくりおおかみ作:生駒おはなしの会 昔むかし班
絵:水落弘子

おくりおおかみ

みなさんは「おくりおおかみ」のことをしっていますか
「おくりおおかみ」というのは、あちこちの 山の峠に姿をあらわす不思議なおおかみのことです。日が暮れてから、人が峠にさしかかると、どこからかおおかみがあらわれ、あとをつけて来るのです。一匹あらわれると五匹、十匹とどんどん数がふえていき、
下りきるまであとをついて来ます。そのとき、おどろいて大声をあげたり逃げ出したりすると、

おおかみはおそいかかってくると言われています。うしろに来ていると思っても、振り返ったり、走ったりせず前を向いたまま歩きつづけるとよいのです。そうすれば、峠を下りきる頃には、おおかみの姿は消えています。
そんな峠が生駒にもあります。
昔から、奈良と大阪をつなぐ街道で木々が鬱蒼とおいしげり昼間でもうす暗いことから暗峠と呼ばれているところです。そこにはこんな話がありました。
昔、一人のおばあさんが、家に帰るために、この峠を上っていました。日が暮れかかり、あたりがうす暗くなってくると、
おばあさんのうしろに一匹のおおかみがあらわれ、大きな口を開けながらついて来ました。おばあさんは、急ぎ足で歩いていきました。そのうちに、おおかみは、もっと、大きな口を開けて近づいて来ました。
「もう、おしまいや! 食べられてしまう」おばあさんは、思わず目をつむりました。
が、ふと、おおかみの口の中を見ると、何かが刺さっています。
「ああ、魚の骨や、これがいたかったんやな」
おばあさんは、おそるおそる、おおかみの口の中に手をつっこんで骨をぬいてやりました。
ところが、
まだ、おおかみはあとをついて来ます。おばあさんは、こんどこそ食べられてしまうと観念しましたが、まっすぐ前を向いたまま歩きつづけました。

おばあさんが、峠を下りきってうしろを振り返ってみると、もう、おおかみは姿を消していました。「ああ、あのおおかみは、わたしがこの峠をぶじにこえられるように、あとをついて来てくれたんやなあ ありがたい、ありがたい」おばあさんは、そっと手を合わせました。
こんなことがあってから、「おくりおおかみ」のおかげで、この峠を無事に越えられたという人が、大勢出て来ました
峠を上るときには、「おおかみさん、ごくろうさんでございます。よろしゅうお頼みもうします。」とお願いし、下りきって、「おおかみさん、ありがとうございました。また お頼みもうします。」とお礼を言うと、おおかみはどこかに消えてしまうということです。
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