第4章 身近なまちの景観づくり
3.身近なまちの特徴に沿った景観づくり
(2)「商業地」の景観づくり
生駒駅周辺は、商店街や大型の商業施設などが集まり、多くの人が行き交うにぎわいある景観となっています。また市内の幹線道路の沿道では、いろいろなお店があり、路線型のにぎわいも見られます。 にぎわいの演出は節度や一定の統一感を持ったものであればここちよい景観づくりに寄与しますが、過度な演出は雑然さが目立つこととなります。にぎわいを表現しながら全体として一定の調和を保つことが、結果的に商業地の集客の増加、ブランドの向上などにもつながります。 商業地では住宅地や集落とは異なる景観づくりのアプローチが必要になります。
○自分のお店の軒先でできる演出を考える
お店の軒先は商品をディスプレイする場所ですが、同時に自分のお店や敷地とまちとをつなぐ大切な空間でもあります。これらの空間にちょっとした心配り、演出を加えると、商品も映えますし、訪れる人を楽しい気分にさせてくれます。お店の軒先や敷地の道路に面した空間を使って、おもてなしの気持ちが表れた空間づくりを考えてみましょう。
<こんなことに取り組んでみましょう> ・商品の特徴を意識し、それらがお客さんに見やすく分かりやすいような陳列を心掛けましょう ・季節感を表す演出、ディスプレイに取り組みましょう ・軒下の空間の整理整頓や掃除に取り組みましょう
○通りで協力してできる演出を考える
隣近所に声をかければ一緒に協力してできることがあります。商店街では催事のときに各お店が協力してのぼりなどで華やかな雰囲気を演出しています。通りで演出を広げると、景観がいきいきとしたものになってきます。「それ、良いね!」ということになれば、オセロゲームのように広がっていくこともあります。通りのために良いなと思うことをやってみませんか。 <こんなことに取り組んでみましょう> ・隣近所と協力して、祭りなどに合わせて、華やかな演出を取り入れましょう ・自分の敷地からちょっと周りを掃除することで、通りを美しくする清掃活動に取り組みましょう
○新築・建て替え・改修時に通りとの関係を意識する
現在の建物に対してすぐに景観に配慮した工夫を取り入れるのは難しいこともありますが、新しく建てるとき、あるいは建て替えや改修を行うときには、是非とも通りや周辺に目を向けてみてください。そして"パターン"を参照しながら、自分の建物のデザインを考えてみましょう。 <こんなことに取り組んでみましょう> ・"パターン"を手がかりにして通りの特徴を読み解き、自分の建物でできるデザイン上の工夫を考えてみましょう
○共用施設を維持管理する
街路灯やアーケード、施設内の歩道空間など、商業地には各お店が共同で維持管理する共用施設があります。こうしたところの維持管理が行き届いていると、訪れる人にとっても気持ちの良いものです。 <こんなことに取り組んでみましょう> ・商店街で協力して、街路灯やアーケード、歩道空間などの維持管理に取り組みましょう ・商店街で協力して、花飾りや、清掃活動など、共用空間を気持ち良く演出する取組を企画、実施してみましょう
○商店街の行事にかかわる
商店街では、販促のためのイベントや、季節毎のお祭りなど、にぎわいを演出するために協力して取り組んでいる行事があります。まちのにぎわいが個店の売り上げアップにもつながるので、是非とも参加してみませんか。 <こんなことに取り組んでみましょう> ・お祭りや清掃活動、販促イベントなど、商店会などで取り組まれている活動に参加しましょう
○商業地のまちなみのルールを考える
望ましいまちなみの姿を話し合い、地域でルールを定め、それに則した景観づくりをお互い守っていくことで、将来にわたるより良いまちなみづくりにつながります。 "パターン"を参照しながら、自分たちのまちで「これは取り入れた方が良い」「これはうちのまちには合わない」といったことを話し合い、考え方をまとめてみてはどうでしょうか。 商業地では、個店がそれぞれバラバラに取り組みがちですが、一定の統一感やルール、マナーをきちんと守りながら個性を発揮して競い合っている商店街は、ブランドも高まり、集客力もアップします。 <こんなことに取り組んでみましょう> ・商店街で軒先の演出、商品の陳列などのマナーについて話し合ってみましょう ・すでにルールが定められている商業地のことを勉強しましょう ・自分たちのまちの望ましい姿、ルールについて話し合いましょう
【「商業地での景観づくり」で活用できる支援制度】
・景観アドバイザーから技術的なアドバイスを受けられる相談窓口を設けています ・商店街などが中心となってまちなみを演出する取組を支援します ・商店主自らがまちなみを守るためのルールを担保する仕組みとして、地区計画制度や景観協定制度などを用意してい ます