第4章 身近なまちの景観づくり

3.身近なまちの特徴に沿った景観づくり

 「身近なまち」とは、自分の家があるまち、自分の事務所やお店があるまちなど、ひとまとまりのまち(地域)と認識できる範囲を指します。

 これらの身近なまちでは、それぞれに特徴があります。自分が住んでいる、あるいは事業を営んでいるまちの特徴に応じた方法で取組を進めていくことが大切です。ここでは計画的に開発された「住宅地」、駅前や幹線道路沿いなどの「商業地」、古くからの生活文化を今に伝える「集落」のそれぞれについて、景観づくりのアプローチを示します。

(1)「住宅地」の景観づくり

住宅地の景観づくり


 計画的に開発された住宅地が多いことは住宅都市としての生駒の特徴でもあります。一人一人が"パターン"も参照しながら、住みよい、暮らしやすいまちをつくっていくためにできることを考えてみましょう。

 自分の家の「建物・敷地」は、自分とまちの景観とがつながる最も小さな単位です。まちの景観を豊かにするための第一歩は、個々の建物・敷地を魅力的にすることです。まずは一人でもできることからはじめてみましょう。

 そうして、一軒から数軒、さらに通り、街区へと広げていくことができれば、まちの景観は変わっていきます。住宅地は集落と比較すると、個人の住宅以外にみんなで管理する共用の空間が少ないため、コミュニティの形も集落とは異なっています。個人の取組を地域全体に広げていくためには、みんなが公共心を育んでいくことも住宅地で景観づくりに取り組むときの重要なテーマです。

○自分の建物や敷地でできる演出を考える

 自分の建物や敷地はもちろん個人のものですが、道路から見える建物の壁面、あるいは道路に接する敷地の空間などは、自分の建物や敷地とまちとをつなぐ大切な空間でもあります。これらの空間にちょっとした心配りや演出を加えると、日々の暮らしも楽しくなるし、周りの人も楽しい気分にさせてくれます。家の軒先や敷地の道路に面した空間を使って、できることを考えてみましょう。

<こんなことに取り組んでみましょう>
・敷地を使って、ガーデニング・オープンガーデン(庭先を公開して見てもらう取組)をしたり、季節に応じて、玄関
 先や窓・塀などに花を飾ったりしましょう
・敷地内の整理整頓や掃除に取り組みましょう

○隣近所で協力してできる演出を考える

 隣近所に声をかければ一緒に協力してできることがあります。通りに演出を広げると、景観がいきいきとしたものになってきます。「それ、良いね!」ということになれば、オセロゲームのように広がっていくこともあります。通りを良くするために自分たちが良いなと思うことをやってみませんか。

<こんなことに取り組んでみましょう>
・隣近所と協力して植栽や花壇を配置したり、ガーデニング、オープンガーデン(庭先を公開して見てもらう取組)を
 したり、季節に応じて、玄関先や窓・塀などに花を飾ったりしましょう
・祭りなどに応じて、華やかな演出を取り入れましょう
・自分の敷地からちょっと周りを掃除することで、通りを美しくすることができます。清掃活動に取り組みましょう



○新築・建て替え・改修時に通りとの関係を意識する

 現在の建物に対してすぐに景観に配慮した工夫を取り入れるのは難しいこともありますが、新しく建てるとき、あるいは建て替えや改修を行うときには、是非とも通りや周辺に目を向けてみてください。そして"パターン"を参照しながら、自分の建物のデザインを考えてみましょう。

<こんなことに取り組んでみましょう>
・"パターン"を手がかりにして通りの特徴を読み解き、自分の建物でできるデザイン上の工夫を考えてみましょう
   例:「しきりとつなぎ」を考えると、うちの住宅地は塀や生垣がしっかりとしたところだから、その連なりを意
     識してみよう。お隣にあわせた工夫をしないと、つながりができないものね。

○公園を活用する

 住宅地には、人々が憩いの場として利用できる空間として公園が整備されています。身近に公園がある場合、その使い方や育て方をみんなで一緒に考え、楽しい活動に取り組んでみませんか。

<こんなことに取り組んでみましょう>
・自分たちのまちにある公園を使って、地域で身近な公園の使い方や育て方などを話し合いましょう
・住民で協力して、花飾りや清掃活動など、公園を気持ち良く演出する取組を企画、実施してみましょう

○周りの自然とのかかわりを育む

 住宅地の周辺に樹林地などの緑の空間や小河川など、住宅地と一体となった自然豊かな空間がある場合、それらの自然とのかかわりを育むことも大切です。
樹林地は多くが私有地であることが多いですが、市内ではそうした樹林地を住宅地の住民が管理し、きれいに整えている取組もあります。自分たちの住宅地の魅力を守り育てるために、みんなで協力してかかわりを育んでいきましょう。

<こんなことに取り組んでみましょう>
・周辺の樹林地、小河川などの自然空間の維持管理に取り組みましょう


○コミュニティの行事にかかわる

 自治会では住民相互の交流や、より良い地域づくりのための活動に取り組んでいます。これらのコミュニティの活動も景観づくりにはとても重要なものです。人の手が加わることでいきいきとした暮らしの様子が垣間見え、住んでいる人も誇りや愛着を持って暮らしていくことができます。また、こうした取組をきっかけとして、様々な人とのつながりが広がり、ますます友達が増えて楽しくなることもあります。

<こんなことに取り組んでみましょう>
・自治会や子ども会、婦人会など、コミュニティで取り組まれている活動に参加しましょう
・お祭りや清掃活動など、地域での行事に参加しましょう

○まちなみのルールを考える

 望ましいまちなみの姿を話し合い、地域でルールを定め、それに則した景観づくりをお互い守っていくことで、将来にわたるより良いまちなみづくりにつながります。
"パターン"を参照しながら、自分たちのまちで「これは取り入れた方が良い」「これはうちのまちには合わない」といったことを話し合い、考え方をまとめてみてはどうでしょうか。

<こんなことに取り組んでみましょう>
・タウンウォッチングをして、自分たちのまちの特徴を話し合いましょう
・すでにルールが定められている住宅地のことを勉強しましょう
・自分たちのまちの望ましい姿、ルールについて話し合いましょう


【「住宅地での景観づくり」に活用できる支援制度】

・景観アドバイザーから技術的なアドバイスを受けられる相談窓口を設けています
・地域のみなさんが主体となって身近な公園の使い方や育て方などについて話し合い、市と協働でより良い公園にリ
 ニューアル(再整備)できるコミュニティパーク事業を実施しています
・市民の森、樹林地バンクなど、身近な緑を所有者の理解のもと守るための制度を用意しています
・地域のみなさん自らがまちなみを守るためのルールを担保する仕組みとして、 地区計画制度や景観協定制度などを用
 意しています

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