第4章 身近なまちの景観づくり
2.立場に沿った景観づくり
景観づくりにかかわる人は様々です。生駒市に住んでいるという立場もあれば、生駒市で事業をしているという立場もあります。さらには、昔は生駒市に住んでいたり、働いていたけれども、今は離れてしまっているという立場もあると思います。 ここでは、そのような立場を「市民・事業者・行政」とし、それぞれの立場に沿った考え方や取組のヒントを解説しています。
(1)まちの景観に寄り添う「市民」の景観づくり
暮らしが目に見える形となって表れたものが景観ですから、まちの景観にとって最も近い存在は「市民」という立場ではないでしょうか。そうすると、市民一人一人の活動が景観づくりの出発点になりそうです。自分が住むまちに目を向け、景観というものを意識し、行動を起こしてみる。それが次第に周囲に広がっていけばまちの景観も良くなっていきます。しかし、一言に市民といってもいろいろな立場がありますので、どんな立場があるか考えてみます。
<例えば、毎日の暮らしの中で> ○ まずは暮らしている地域の景観にはどんな特徴があるか"パターン"を参考にして考えてみてください。それが景観 づくりの第一歩です。特徴をいかすにはどんなことをすれば良いか考えてみてください。 ○ 考えたことを実際にしてみてください。特別なことをする必要はありません。簡単にできることからはじめてみて ください。隣近所の方と相談してみるのも良いかもしれません。 <例えば、家を建てるとき> ○ 家を建てるときや改修するときには、その場所をいろいろな所から見てください。そしてどんな特徴があるか"パ ターン"を参考に考えてみてください。 ○ 特徴をいかすにはどんな計画にすれば良いか考えて、実際の建築に反映してみてください。 <例えば、生駒市の応援団に> ○ 生駒市に通勤や通学する人、観光などで訪れる人、また故郷が生駒市である人など、いろいろな形で生駒市とつな がりを持った人も、広い意味での「市民」ではないでしょうか。 ○ そのつながりも何かの縁です。生駒市で「これ良いな」とか「こんな良い所があったんだ」と思うことがあれば、 かかわりのある人に積極的に紹介してください。褒められれば誰でもうれしいですよね。
(2)まちの景観ににぎわいをもたらす「事業者」の景観づくり
暮らしの中のにぎわいの場面の一つに、買い物や外食といった事業活動があります。今や暮らしとは切り離せない存在である事業活動。その事業活動をする事業者は景観づくりの重要な立場といえます。企業としての考え方も大切ですが、地域の中で事業活動を続けるには、地域の理解も大切です。短期的にはメリットが少ないように思える景観づくりの活動も、長い視点で考えればプラスになることがあるはずです。
<例えば、毎日の事業活動の中で> ○ まずは事業所などのある地域の景観にはどんな特徴があるか"パターン"を参考にして考えてみてください。それが 景観づくりの第一歩です。 ○ 特徴をいかし、事業活動に役立つにはどんなことをすれば良いか考えてみてください。 ○ 考えたことを実際にしてみてください。難しく考えず、事業所の周辺の清掃や敷地の緑化、季節に合わせたディス プレイの演出など、おもてのなしの心がまちの景観を豊かにします。 <例えば、お店や工場を建てるとき> ○ 事業所などの建物を建てたり改修したりするときは、その場所をいろいろな所から見てください。そしてどんな特 徴があるか"パターン"を参考に考えてみてください。 ○ 自社のコーポレートアイデンティティ(企業の特徴や個性を共通したイメージで示す戦略)も大切ですが、地域の 景観のシンボルとなるような、あるいは地域の景観づくりに貢献できるような計画を考えましょう。 <例えば、開発や建築の事業者として> ○ 開発や建築に携わる事業者は、景観づくりのプロであるといえます。市内で事業を行うときには、地域の景観を しっかりと読み解き、お手本となるようなまちや建物になるようにしましょう。 ○ 地域の景観を高める開発や建物は、不動産としての価値をより高めることにもつながります。
(3)まちの景観を整える「行政」の景観づくり
生駒市の景観づくりの方向性と将来像を示すとともに、景観づくりにかかわる諸制度の効果的な活用を検討し、市民・事業者の積極的な取組を促進するための意識を高める機会を増やし、良好な景観づくりにかかる活動を支援します。また、公共公益施設などの整備にあたっては、地域の特性を踏まえた景観づくりを先導する役割を担います。 具体的な施策などについては5章で詳しく説明します。
<景観づくりの枠組みを整える主体として> ○ 本計画に基づき、市民・事業者の意向などを踏まえながら、良好な景観づくりに向けて各種施策を立案し、推進し ます。 ○ 市民・事業者が自ら主体的に景観づくりに取り組めるよう、必要となる仕組みを整え、取組が広がるような支援を 行います。 <総合的な施策推進の主体として> ○ 景観行政だけではなく、環境・福祉・観光・コミュニティなど、様々な分野の施策を進める主体として、連携を図 りながら、総合的に景観づくりに取り組みます。 ○ 良好な景観づくりに向けて、景観以外の分野の施策にも景観の考え方を反映させたり、関係する施策などが連携・ 協調して取り組めたりできるような調整を行っていきます。 <公共事業の事業主体として> ○ 公共施設を整備する主体として、道路・河川・公園などの公共施設や公共建築物を整備するときは、その地域の景 観を方向付けるものであるということを認識し、先導的な役割を担えるよう取り組みます。