第2章 生駒らしい景観の特性

生駒らしい景観の特性

農家住宅(高山町)


(2)受け継がれてきた伝統

1)敷地内の建物配置

    

 集落内の代表的な農家住宅は、母屋と付属屋から成り、蔵は二つあるのが一般的だったようです。配置される方角の名前を付けた北西にある「戌亥(いぬい)蔵」には道具や茶碗を、南東にある「辰己蔵」には米を収納していました。また、農機具などの収納と作業場として納屋も設けられ、母屋との関係で配置が決まったそうです。     

 これらの配置は、広い範囲の集落で見ることができるため、伝統の様式と言うことができ、まとまりのある集落の景観を形成するための土台となっています。

生駒らしい景観の特性


風土が練り上げたデザイン

2)風土が練り上げたデザイン

 集落では、気候や風土、生業などに合うように生活の中で工夫が重ねられ、長い年月をかけて磨かれてきた意匠(デザイン)があります。

 代表的なデザインは、蔵の外壁や生駒石などを庭石や石積み用の石として使われるものが挙げられます。また、集落ごとに特有のデザインもあります。例えば、敷き際には立派な門屋を設けるところもあれば、庭木を植えるところ、生駒石で石垣をつくるところもあります。大和棟など独自に発展した屋根の形もあります。

 このことは、各集落の職人の技術が明文化されない独特の約束事として受け継がれてきたこととも深く関係しています。練り上げられたデザインが、その集落らしい景観をつくり出しています。


◆コラム:生駒の住まいの伝統を守る ~大工さんのお話から~


◆コラム:伝統とは


モリさん

3)モリ信仰と風習

 かつて各集落には、「七モリ」といわれる樹林地が存在していました。現在も生駒谷の各地にモリさんが伝承されています。

 時代とともに人々の生活様式は変化し、七モリに対する畏敬の念も薄れていますが、世代を超えて様々な言い伝えとともに受け継がれ、生活習慣や空間利用の中にひっそりと息づいています。

 市街地が拡大し、集落のまとまりもあいまいになりつつある中で、集落の境界に取り囲むように存在していた七モリは、古くからの集落の場所を知る手がかりにもなっています。


◆コラム:生駒谷の七モリの伝承


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