第5章 景観形成の推進施策

2.市民や事業者による景観づくりの取組の促進

景観づくりは市民・事業者・行政がそれぞれの役割に応じて取組を進めていくことが必要です。市は、市民や事業者による景観づくりの取組を促進するため、意識やモチベーションを高めるとともに、活動を育み、支援していきます。

(1)意識を高める

 景観づくりの理念を共有し、生駒らしい景観の特性を認識した上で景観づくりを進めていくためには、まず、一人一人が景観に対して関心を持ち、身近にできる小さなことからでも取組への一歩を踏み出していくことが必要です。

 そのために、市民・事業者、また行政職員が景観に対する関心を高めることができるよう、様々な機会をとらえて働きかけを行います。

 一方、最近は市民が楽しみながら、また事業者が社会貢献として景観づくりに関連する活動に取り組む事例も増えてきています。押しつけではなく、「それ、良いね!」という共感の輪を広げていくことも重要です。

1)良好な景観イメージを発信する
 緑豊かな住宅地のイメージを含めた生駒の持つ多様な景観の良さを、積極的に外部に発信していくことが大切です。生駒の景観の良さをアピールすることで、市民の生駒に対する愛着や誇り、事業者のこだわりが醸成されることが期待されます。

・良好な景観を発信する普及・啓発のツールづくりに取り組みます
・広報(市報・ホームページ)、観光、産業などといった取組とも連携しながら、生駒の良好な景観のイメージの発信
 に取り組みます

2)身近にできるまちのかかわり方を発信する
 散歩やウォーキング、日常の清掃活動、庭や公園での花づくりなど、身近なところからまちとかかわることが景観づくりの取組への第一歩にもなります。趣味や関心に応じて楽しみながらまちにかかわる、そんな姿勢や取り組み方をいろんなツールを使って発信していくことで取組の和を広げていきます。

・市内で展開されている景観づくりにつながる様々な取組を情報集約し、発信していきます
・市民や事業者が楽しみながらまちとかかわり、共感を広げていけるような取組を促します

3)生駒らしい景観づくりの考え方を広める
 本計画で紹介した生駒らしい景観の特性や"パターン"について、市民・事業者・行政みんなが理解を深めることが大切です。また、"パターン"を使った生駒らしい景観づくりの考え方や方法について市民・事業者・行政が共有していくことが必要です。

 本計画で示している"パターン"は基本的なものだけであり、さらに地域ごとの景観の詳細な読み解き作業に多くの人がかかわりながら取り組むことで、"パターン"をより充実したものとしていくことができます。

・"パターン"や、それらを使った工夫を分かりやすく解説し、計画・設計の手がかりとなるよう、様々な媒体を使って
 情報提供していきます
・市民・事業者が地域の景観の特徴について学ぶ機会づくりに取り組みます
・建築士などの専門の方と一緒に、"パターン"を理解し、さらに深めていくための機会づくりに取り組みます
・市民・事業者がまちなみ、建造物、樹林地、眺望点など、様々な観点から生駒の景観の良いところを探す取組を通
 じ、"パターン"を見出し、より充実したものとしていきます

4)景観学習・教育を進める
 小中学校をはじめ、高校や大学などでも取り組まれている地域学習や地域の人とかかわる教育プログラムは、景観に対する素養を深める上でも非常に役に立つものです。また、これらの取組の成果として、子どもたちを通じて大人も景観について関心を持つきっかけとなることも期待されます。このため、子どもたちが景観について学べる機会や環境をつくっていきます。

 あわせて、子どもたちだけでなく大人も様々な切り口から景観に触れ、楽しみながら景観を知り学ぶ取組を進めます。

・子どもたちや学生が景観について知り学ぶための景観教育に取り組むとともに、普及・啓発用のツールづくりに取り
 組みます
・景観教育に関連する市民・事業者の取組を広げます
・「いこま塾」「花とみどりの楽校」をはじめとして、市民・事業者が景観を知り学ぶ機会づくり(まちあるき、写真
 募集など)の取組を広げます


(2)モチベーションを高める

 市民や事業者が、より積極的に生駒らしい景観づくりに取り組めるようにモチベーションを高めるための仕組みを整え、景観に影響を与える計画や事業がより良い景観づくりへと向かうように方向性を示すなどの仕組みを整えていきます。

1)優れた取組を讃える

 市民や事業者が元気に楽しく、またやりがいを感じながら積極的に活動していけるよう、優れた取組を讃える仕組みを整えていきます。

・優れた取組を表彰し周知する仕組みを整えます
・市民・事業者同士でも良いところを見つけ、褒めるような取組を促します

2)メリットにつながる仕組みや環境を整える
 景観づくりの取組が景観形成はもとより、暮らしの充実感や経済的なメリットにつながることでモチベーションを向上させる仕組みを整えていきます。

 このため、暮らしの質(QOL)を高めることにもつながる景観上の工夫を紹介したり、開発事業などにおいて、周辺地域の景観と調和し、良好な景観の形成を先導する取組を周知する仕組みを整えていきます。

・生活環境に応じた景観づくりの工夫例を紹介するような情報発信を進めます
・良好な景観形成を先導する開発事業などを認定し、周知する仕組みを整えます
・生垣設置などまちなみ景観の向上に寄与する取組への助成の仕組みを整えます


(3)活動の芽を育み広げる

市民・事業者が景観づくりに関する取組をより円滑に、また効果的に進められるよう、行政が取組を応援する仕組みを整えます。

1)コミュニケーションが生まれる場をつくる
 個人が景観に対して関心を持ち始めた後は、まずは市民同士でわいわいがやがやと会話を楽しみながらお互いに意識を高め合い、連携のためのつながりやきっかけを育むことができる機会をつくります。

・現在取り組まれている井戸端会議など、様々な市民が気軽に集まって交流できる場づくりを支援します

2)景観上価値のあるものの保全を支援する
 市民や事業者が所有する建築物や樹林地など、景観上の価値があるものの保全をみんなで支えていくための仕組みをつくります。
・景観上価値のある建築物などに対して、「景観重要建造物」「景観重要樹木」などの制度を活用し、保全のための所
 有者の負担を軽減する仕組みを整えます
・「樹林地バンク」「市民の森」などの制度を活用し、樹林地の所有者と利活用をしたい市民・団体との仲介を行う仕
 組みを整えます


(4)活動を充実させる

市民・事業者による景観づくりに関する取組をより充実させていくために行政が応援する仕組みを整えます。
1)身近にできるまちとのかかわりを促す仕組みを整える
 身近なところからまちとかかわる、そんなきっかけづくりや取組を促すため、必要な仕組みを整えます。

 市民であれば、住環境の改善・魅力アップ、花壇・公園・樹林地の維持管理など、身近な環境を良くする取組であったり、店主であれば自分たちの商店街の通り沿いを演出する取組であったり、まちとのかかわりを促すための仕組みをつくります。

・地域でまちとかかわるきっかけを促す仕組みを整えます
・市民・事業者が市内の良好な景観に着目し、発信するような取組(例:まちあるき、写真募集など)を支援する仕組
 みを整えます
・「市民活動団体支援制度」(愛称:マイサポいこま)など、広く市民・市民活動団体がまちづくりとかかわるための
 仕組みを整えます

2)技術的なアドバイスを行う仕組みを整える
 市民・事業者が建築などを行うときの景観への配慮事項や配慮方法について、技術的なアドバイスを行える仕組みをつくります。

・届出のときの事前相談を通じて、景観アドバイザーが技術的アドバイスを行う「景観まちづくり相談」などの取組を
 進めます
・建築士会などとも連携して、生駒の景観に配慮した建築物のあり方を考え、広めていくような人材の育成を支援する
 取組を進めます


(5)ルールづくりを支援する

地域で景観に関するルールづくりが進むよう支援する仕組みを整えます。
1)地域の景観づくりを支援する
 地域の良好な景観を守っていくためには、地域で目指すべき姿を共有し、その実現に向けて取り組んでいくことが大切です。そのための第一歩となる動きを支援したり、合意をつくっていくための支援を行います。

・自治会など、地域で自分たちのまちの景観を考える、はじめの一歩を支援する枠組みを整えます
・地域での景観のルールづくりなどを行う上で、専門家を派遣するなどの学習の機会を支援する枠組みを整えます
・景観アドバイザーから技術的アドバイスを受けられる「景観まちづくり相談」などの取組を進めます

2)地域のルールを担保する
 地域での話し合いに基づいて景観づくりのルールを設定した場合に、合意形成の熟度や地域住民のモチベーションに応じて担保する仕組みを用意します。

・建築協定、景観協定、緑地協定など、市民・事業者が自らルールを守り、運用していく仕組みや、景観形成地区、地
 区計画など、地域住民の合意に基づき行政が担保する仕組みなどを導入します

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