○生駒市のハラスメントの防止等に関する条例
令和7年3月26日
条例第11号
生駒市のハラスメントの防止等に関する条例をここに公布する。
生駒市のハラスメントの防止等に関する条例
ハラスメントは、個人としての人権を侵害し、尊厳を傷つける許されない行為である。
また、ハラスメントは、被害者の能力の発揮を阻害し、当事者間相互の信頼関係を損ない、組織全体の公務能率の低下や勤務環境の悪化を招くとともに、貴重な人材の損失につながり、ひいては市民サービスの低下により市民のみならず社会からの信用及び信頼を失うこととなる。
よって、いずれも全体の奉仕者である市長等、議員及び職員は、ハラスメントに関する知識を深め、身分、職位及び職責にかかわらず、互いに人格を尊重し、信頼し合うことで、職員の能力を十分に発揮させることができる環境を確立するとともに、ハラスメントの防止及び根絶に努めることを決意し、ここに、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、ハラスメントの防止に取り組むとともに、ハラスメントに起因する問題が生じた場合に迅速かつ適切な対応を行うことにより、全ての職員の尊厳が守られ、快適に働くことができる良好な勤務環境を確立することを目的とする。
(1) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員であって、本市に勤務するものをいう。
(2) 市長等 市長、副市長及び教育長をいう。
(3) 議員 本市議会の議員をいう。
(4) ハラスメント パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント及びその他の他の者に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、人格若しくは尊厳を害し、又は勤務環境を害することとなるようなものをいう。
(5) ハラスメントに起因する問題 ハラスメントのため職員の勤務環境が害されること及びハラスメントへの対応に起因して職員がその勤務条件につき不利益を受けることをいう。
(ハラスメントの禁止)
第3条 市長等、議員及び職員は、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、人権侵害に当たることを理解し、職員に対し、ハラスメントをしてはならない。
(市長等の責務)
第4条 市長は、職員がその能力を十分に発揮できる勤務環境を確保するため、ハラスメントの防止に関する研修の実施等により意識の啓発を図るとともに、ハラスメントに対応する相談、調査、審議等に関する体制を整備し、それらを職員に対して明示しなければならない。また、市長は、ハラスメントに起因する問題が生じたときは、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。
2 副市長は、市長を補佐して、前項に規定する措置等をともに実施しなければならない。
3 教育長は、教育行政の運営において、この条例の目的を実現するよう、その職務を遂行しなければならない。
(議員の責務)
第5条 議員は、市民の代表者として、その活動においては、常に高い倫理観を持ち、市政に携わる権能及び責務を自覚するとともに、職員の人格を尊重し、ハラスメントの防止に努めなければならない。
(職員の責務)
第6条 職員は、他の職員に対し、職務遂行上の対等なパートナーとして、互いの人権を尊重しなければならない。
2 管理又は監督の地位にある職員は、ハラスメントに起因する問題が職場(出張先その他職員が通常勤務をする場所以外の場所で、実質的に職務と相当因果関係があるものを含む。)に生じていないか、又はそのおそれがないかに注意して、良好な勤務環境を確保するよう努めなければならない。
2 申出は、現実にハラスメントの事案が発生した場合に限らず、その発生のおそれがある場合にも行うことができる。
3 ハラスメントを受けた職員が心身の故障等により入院していることその他特別の事情により申出を行うことができない場合は、当該職員の同僚、上司又は親族等で当該ハラスメントの事実関係を認識している者が申出を行うことができる。
4 申出に当たっては、当該申出を行ったことがハラスメントの行為者等に知られることがないよう十分配慮されなければならない。
(相談窓口)
第8条 市長は、職員からの申出に対応し、及び職員の心身の被害の回復に向けた支援を行うため、申出を受ける窓口(次項において「相談窓口」という。)を設置する。
2 相談窓口は、申出を行った職員の主張の聴取その他申出の解決に向けた調整を行うとともに、当該申出に関する内容を記録し、市長に報告するものとする。
(相談員)
第9条 市長は、職員からの申出を受ける職員(以下この条において「相談員」という。)を、人事担当部長の推薦及び職員をもって組織する労働組合又は職員団体の推薦に基づき選任する。
2 相談員は、申出を行った職員の主張の聴取を行うとともに、当該申出に関する内容を記録し、市長に報告するものとする。
3 相談員は6人以上とし、男女のいずれか一方の相談員の数は、相談員の総数の10分の4未満とならないよう努めなければならない。
(第三者相談窓口)
第10条 市長は、職員からの申出の円滑かつ公正な解決を図るため、第三者による申出を受ける窓口(以下「第三者相談窓口」という。)を設置する。
2 第三者相談窓口は、申出を行った職員の主張の聴取、専門的な見地からの適切な助言その他申出の解決に向けた調整を行うとともに、当該申出に係る報告書を作成し、市長に提出するものとする。
3 市長は、第三者相談窓口に係る業務を社会保険労務士、弁護士その他のハラスメントに関して専門的知識を有する者に委託するものとする。
(ハラスメントの認定に係る調査)
第12条 申出を行った職員は、当該申出の内容がハラスメントに該当するかどうかの認定について生駒市ハラスメント認定・対策委員会で調査を行うことを、当該申出を行った相談窓口等に求めることができる。
2 相談窓口等は、前項の規定による求めがあったときは、速やかに生駒市ハラスメント認定・対策委員会に調査を求めなければならない。
3 市長又は相談窓口等は、申出の内容、状況等から、適切かつ効果的な対応が必要であり、生駒市ハラスメント認定・対策委員会で処理することが適当と判断したときは、当該申出を行った職員の同意を得た上で、当該申出の内容がハラスメントに該当するかどうかの認定についての調査を生駒市ハラスメント認定・対策委員会に求めることができる。
(ハラスメント認定・対策委員会)
第13条 ハラスメントに関する次に掲げる事項について調査審議するため、生駒市ハラスメント認定・対策委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(1) ハラスメントに係る事実関係の調査に関すること。
(2) ハラスメントの認定に関すること。
(3) 本市が講ずべき対応措置に関すること。
(4) ハラスメントの防止に関すること。
(5) その他ハラスメントに関し、市長が必要と認める事項
2 委員会は、委員5人以内をもって組織する。
3 委員は、弁護士、臨床心理士、公認心理師、社会保険労務士その他の学識経験のある者のうちから、市長が委嘱する。
4 委員のうち過半数の者は、それぞれの所属団体の推薦に基づき委嘱されるものとする。
5 委員は、第三者相談窓口において職員からの申出を受ける者と兼ねることができない。
6 委員は、公平かつ公正にその職務を遂行しなければならない。
7 委員の任期は、2年とする。ただし、再任されることを妨げない。
8 委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
9 委員会は、調査審議に当たり、必要に応じて申出に関係する者に対して意見の聴取を行うことができる。
10 委員会は、ハラスメントの認定に関し調査審議した結果を市長に報告するものとする。
11 委員会は、申出に係るハラスメントが悪質又は緊急を要すると判断した場合は、原因究明及び再発防止のための措置に関し、市長に意見を述べるものとする。
12 前各項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(1) 市長等又は議員 公表
(2) 職員 地方公務員法第29条の規定による懲戒処分等
2 市長は、前項第1号に定める措置を講じようとするときは、あらかじめ委員会に意見を求めなければならない。
(職務の代理)
第15条 ハラスメントの行為者が市長とされている場合には、地方自治法(昭和22年法律第67号)第152条の規定に準じて副市長等が、この条例の規定による権限の行使に関しその職務を代理する。
(プライバシーの保護及び秘密の保持)
第16条 申出に関係する全ての者は、ハラスメントの当事者及び関係者のプライバシーに十分配慮し、その際に知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(不利益取扱いの禁止)
第17条 市長等、議員及び職員は、職員が申出を行ったことを理由として、当該職員に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
(申出の状況の公表)
第18条 市長は、地方公務員法第58条の2第3項及び生駒市人事行政の運営等の状況の公表に関する条例(平成17年9月生駒市条例第17号)の規定による公表と併せて、当該年度の前年度の申出件数を公表するものとする。
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和7年7月1日から施行する。
(検討)
2 市長は、この条例の施行後3年以内に、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。