○生駒市手話言語の普及並びに障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する条例

令和元年12月24日

条例第30号

生駒市手話言語の普及並びに障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する条例をここに公布する。

生駒市手話言語の普及並びに障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する条例

情報の取得又は利用、意思の表示やコミュニケーションは、日常生活又は社会生活を営む上で欠かすことができないものであり、これらの手段として、言語は、知識の蓄積を可能とし、文化の創造を促し、人類の発展に大きく寄与してきた。

しかしながら、障がいのある人は、生活や相互理解を深めるために必要なコミュニケーション等が困難な場合があり、不安や不便を感じている人も少なくない。中でも、ろう者は、手や指の動き、表情等を使用して視覚的に表現し、コミュニケーション等を図る手段である手話を、長年、言語として認めてもらうことができず、また利用できる環境が十分に整備されてこなかったことから、不安や不便を感じながら生活してきた。

こうした中、平成18年に国際連合の総会で採択された障害者の権利に関する条約や平成23年に改正された障害者基本法において、手話は広く言語として認められ、さらに障がいの特性に応じたコミュニケーション等の手段を選択できる環境の整備が求められるようになったが、全国的にこれらの理解や整備が十分に進んでいない状況にある。

このことから、手話が言語であることの普及並びに障がいの特性に応じた情報の取得又は利用、意思の表示やコミュニケーションの手段の理解及び利用の促進を図ることにより、全ての市民が障がいの有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であること(以下「手話言語」という。)の普及並びに多様なコミュニケーション手段の理解及び利用の促進についての基本理念を定め、市の責務及び市民等の役割を明らかにするとともに、市の施策を総合的かつ計画的に推進するための基本となる事項を定めることにより、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 多様なコミュニケーション手段 手話、要約筆記、筆談、字幕、点字、音訳、代読、代筆、触手話、指点字、平易な表現、絵図、記号、身振り、手振り、重度障害者用意思伝達装置、パーソナルコンピュータ等の情報機器その他の障がいの特性に応じた情報の取得又は利用、意思の表示及びコミュニケーションの手段をいう。

(2) ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

(3) 障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁(障がいがある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(4) コミュニケーション支援者 手話通訳、要約筆記、点訳、音訳(朗読を含む。)その他の障がいのある人の情報の取得又は利用、意思の表示及びコミュニケーションの支援を行う者をいう。

(5) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。

(6) 事業者 市内で事業活動を行うものをいう。

(基本理念)

第3条 手話言語の普及は、手話が音声言語とは別の独自の体系を有する言語であって、ろう者が知的で心豊かな日常生活又は社会生活を営むために大切に受け継いできた文化的所産であるものとの認識を基本として行われなければならない。

2 多様なコミュニケーション手段の理解及び利用の促進は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。

(1) 全ての市民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格及び個性を尊重し合うこと。

(2) 多様なコミュニケーション手段を利用する者が有するコミュニケーションを円滑に図る権利は、最大限尊重されること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるとともに、手話言語の普及並びに多様なコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する施策を推進するものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるとともに、ろう者その他の障がいのある人が利用しやすいサービスの提供、働きやすい環境の整備等に努めるものとする。

(施策の推進方針)

第7条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 手話言語の普及並びに多様なコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する施策

(2) ろう者その他の障がいのある人が、多様なコミュニケーション手段を選択することができ、かつ、利用しやすい環境の整備に関する施策

(3) コミュニケーション支援者の養成及び確保に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策

2 市は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項の規定により策定する計画において、前項の施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。

(委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

この条例は、令和2年4月1日から施行する。

生駒市手話言語の普及並びに障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の理解及び利用…

令和元年12月24日 条例第30号

(令和2年4月1日施行)

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第8編 生/第1章 社会福祉
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