○生駒市政治倫理条例

平成20年6月30日

条例第25号

生駒市政治倫理条例をここに公布する。

生駒市政治倫理条例

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託に基づくものであることにかんがみ、その担い手たる市長、副市長、教育長及び水道事業管理者(以下「市長等」という。)並びに議会の議員(以下「議員」という。)が、市民全体の奉仕者としてその人格及び倫理の向上に努め、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使して自己の利益を図らないことを市民に宣言するとともに、市長等及び議員が職務を遂行する上での公正性及び高潔性を実証するために必要な措置を定め、あわせて、市民も市政の主権者としての認識及び自覚の下に、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(平24条例15・一部改正)

(市長等及び議員の責務)

第2条 市長等及び議員は、市政に携わる責務を深く自覚し、第4条に規定する政治倫理基準を遵守しなければならない。

(市民の責務)

第3条 市民は、主権者としての責務を自覚し、市長等及び議員に対し、公正な職務の遂行を損なわせるおそれのある行為を求めてはならない。

(政治倫理基準)

第4条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の奉仕者として品位及び名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。

(3) 市及び市の出資法人等(市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人及び市と密接な関係にあると認められる法人をいう。以下同じ。)が行う工事等(下請工事を含む。)の請負契約、業務委託契約、物品購入契約その他の契約に関して特定の業者の推薦、紹介その他の有利な取計いをしないこと。

(4) 市職員の公正な職務の遂行を妨げ、又は市職員の権限若しくは地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。

(5) 市職員の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。

(6) 議員は、市職員の昇格、異動等の人事について関与しないこと。

(7) 政治活動に関して法人その他の団体(政党その他の政治団体を除く。)から寄附等を受けないものとし、その後援団体についても政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けさせないこと。

(8) その地位を利用して、市職員に対する物品等の販売その他市職員との各種契約の締結(政党の機関紙誌に係るものを除く。)を行わないこと。

(資産等報告書の提出等)

第5条 市長等及び議員は、当該職に就いたときは、その任期開始の日において有する資産等を記載した資産等報告書を、同日から起算して100日以内に、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。

2 市長等及び議員は、当該職に就いた場合において、その任期が連続することとなるときは、その任期開始の日の属する年の前年の12月31日において有する資産等並びに当該前年の1年間の収入、贈与等及び税等の納付状況を記載した資産等報告書をその任期開始の日の属する年の5月1日から同月31日までに、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。

3 市長等及び議員は、毎年、12月31日において有する資産等並びにその年の1年間の収入、贈与等及び税等の納付状況を記載した資産等報告書を、翌年の5月1日から同月31日までに、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。

4 前3項の資産等報告書(以下「資産等報告書」という。)には、別に定めるところにより、必要な証明書類を添付しなければならない。

5 議長は、前各項の規定により提出された議員の資産等報告書を提出期限の日から10日以内に市長に送付するものとする。

6 市長は、市長等の資産等報告書及び前項の規定により送付された議員の資産等報告書の写しを、当該資産等報告書を受けた日から15日以内に、生駒市政治倫理審査会に提出し、その審査を求めなければならない。

7 市長は、前項の資産等報告書を、当該資産等報告書の提出期限の日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。

8 市民は、市長に対し、前項の規定により保存されている資産等報告書の閲覧を請求することができる。

9 市民は、閲覧により知り得た情報を不正に活用してはならない。

(資産等報告書の記載事項)

第6条 資産等報告書には、次に掲げる事項(前条第1項の資産等報告書にあっては、第1号に掲げる事項)を記載するものとする。

(1) 資産等

 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。)所在、面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨

 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積並びに相続により取得した場合は、その旨

 建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続により取得した場合は、その旨

 預金及び貯金(別に定めるものを除く。) 預金及び貯金の額

 有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項及び第2項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券にあっては、株式の銘柄及び株数)

 自動車、船舶、航空機、美術工芸品及び貴金属(別に定めるものを除く。) 種類及び数量

 ゴルフ場の利用に関する権利(譲渡することができるものに限る。) ゴルフ場の名称

 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の額

 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の額

(2) 収入、贈与等

 給与、事業収入、報酬、賃貸料、謝礼金その他これらに類する収入 出所及び金額

 1件につき1万円を超える贈与及びもてなし(別に定めるものを除く。) 出所、内容及びその価格又は金額

(3) 税等の納付状況 国又は地方公共団体から賦課されている税等の納付状況

(兼業・兼職報告書の提出等)

第7条 市長等及び議員は、毎年4月1日において継続的に一定の収益事業を行っている法人その他の団体の役員、顧問その他の職に就いている場合には、当該団体の名称及び住所並びに当該職名を記載した兼業・兼職報告書を、その年の5月1日から同月31日までの間に、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。

2 前項の規定により提出した兼業・兼職報告書の内容に変更があるときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に当該変更すべき理由が生じた日から3月以内に、兼業・兼職変更報告書を提出しなければならない。

3 兼業・兼職報告書及び兼業・兼職変更報告書の閲覧等については、第5条第5項及び第7項から第9項までの規定を準用する。

(政治倫理審査会)

第8条 資産等報告書の審査その他政治倫理確立のため必要な事項の審査その他の処理を行うため、市長の附属機関として生駒市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、次に掲げる事項を所掌する。

(1) 資産等報告書を審査し、その結果を市長に報告すること。

(2) 次条第1項の規定により調査の請求があった事案について、調査し、報告し、又は勧告すること。

(3) 前2号に定めるもののほか、政治倫理の確立を図るため必要とされる事項について、調査し、勧告し、又は建議すること。

3 審査会は、委員5人以内をもって組織する。

4 委員は、地方自治の本旨に理解があり、かつ、政治倫理及び資産等報告書の審査に関し専門的知識を有する者のうちから、議会の同意を得て市長が委嘱する。

5 市長は、委員の選任に際しては、公平性及び公正性の確保に十分留意しなければならない。

6 委員は、地方公共団体の議員及び長並びに政党その他の政治団体の役員と兼ねることができない。

7 市長は、委員から辞職の申出があったとき、又は委員が心身等の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、若しくは職務上の義務違反その他委員としてふさわしくない行為があると認めるときは、議会の同意を得て委嘱を解くことができる。

8 委員の任期は、2年とする。ただし、再任されることを妨げない。

9 委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

10 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

11 委員は、その職務を政治的目的のために利用してはならない。

12 前各項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

(市民の調査請求権)

第9条 市民は、資産等報告書、兼業・兼職報告書又は兼業・兼職変更報告書(次条において「資産等報告書等」という。)に疑義があるとき、又は市長等若しくは議員がこの条例に定める政治倫理基準等に反する行為をした疑いがあるときは、これを証する資料を添えて、市長等に係るものにあっては市長に、議員に係るものにあっては議長に調査を請求することができる。

2 議長は、前項の規定による調査の請求がなされたときは、議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを市長に送付するものとする。

3 市長は、第1項の規定による請求がなされたとき、又は前項の規定による送付を受けたときは、調査請求書及び添付資料の写しを審査会に速やかに提出し、調査を求めなければならない。

4 審査会は、前項の規定により調査を求められたときは、当該調査を求められた日から90日以内に、その調査結果を市長に文書で報告しなければならない。この場合において、報告が議員に係るものであるときは、市長は、その写しを議長に送付しなければならない。

5 市長又は議長は、前項の規定による報告があった日から7日以内に、その写しを請求者に送付しなければならない。

(虚偽報告等の公表)

第10条 市長は、第8条第2項の規定による審査会の報告に、資産等報告書等の提出の遅滞、虚偽の報告又は調査に協力しなかった等の指摘があったときは、その旨を速やかに公表しなければならない。

(市長等及び議員の協力義務)

第11条 市長等又は議員は、審査会の要求があるときは、審査若しくは調査に必要な資料を提出し、又は審査会の会議に出席して説明しなければならない。

(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)

第12条 市長等及び議員が刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの各条及び第198条に規定する贈収賄罪並びに公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成12年法律第130号)に規定する犯罪その他職務に関連する犯罪(以下これらを「職務関連犯罪」という。)により起訴された後、引き続きその職にとどまろうとするときは、当該市長等又は議員は、逮捕され、又は勾留されている場合を除き、当該市長等にあっては市長に、当該議員にあっては議長に市民に対する説明会(以下「説明会」という。)の開催を求めなければならない。この場合において、当該市長等又は議員は、説明会に出席し、説明しなければならない。

2 市民は、前項の規定による説明会が開催されないときは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第18条に規定する選挙権を有する者の50人以上の連署をもって、当該市長等又は議員が起訴された日から60日以内に、市長又は議長に説明会の開催を請求することができる。

3 市長又は議長は、前項の規定による請求があったときは、当該市長等又は議員が逮捕され、又は勾留されている場合を除き、説明会を開催しなければならない。この場合において、当該市長等又は議員は、説明会に出席し、説明しなければならない。

4 市民は、説明会において、当該市長等又は議員に質問することができる。

(職務関連犯罪による有罪判決後の説明会)

第13条 前条の規定は、市長等及び議員が職務関連犯罪による有罪判決の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとする場合に準用する。この場合において、同条第2項中「起訴された日から60日以内」とあるのは、「有罪判決の宣告を受けた日から30日を経過した日以後30日以内」と読み替えるものとする。

(職務関連犯罪による有罪確定後の措置)

第14条 市長等及び議員が職務関連犯罪により有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、当該市長等又は議員は、市政に対する市民の信頼を回復するため、辞職手続をとらなければならない。

(請負契約等の辞退)

第15条 市長等若しくは議員が役員をしている継続的に一定の収益事業を行っている法人(市の出資法人等を除く。)その他の団体(個人が経営し、又は運営するものを含む。以下「法人等」という。)、市長等若しくは議員が実質的に経営に携わっている法人等で次の各号のいずれかに該当するもの又は市長等若しくは議員の配偶者、1親等の親族若しくは同居の親族(以下「市長等の配偶者等」という。)が経営する法人等は、市が行う工事等(下請工事を含む。)の請負契約、業務委託契約及び物品購入契約を辞退し、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。

(1) 市長等又は議員が資本金、出資金その他これらに準ずるものの3分の1以上を出資している法人等

(2) 市長等又は議員が年額120万円以上の報酬、顧問料その他これらに準ずるものを収受している法人等

(3) 市長等又は議員がその経営方針又は主要な取引に関与している法人等

2 前項の規定に該当する市長等及び議員は、市民に疑惑の念を生じさせないため、責任をもって辞退届を提出しなければならない。

3 前項の辞退届は、市長等及び議員の任期開始の日(任期開始の日後に第1項に規定する事実が発生した場合にあっては、当該事実が発生した日)から30日以内に、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出するものとする。

4 議長は、議員に係る辞退届が提出されたときは、その写しを速やかに市長に送付しなければならない。

5 市長は、第2項の辞退届の提出の状況を速やかに公表しなければならない。

(指定管理者の指定の禁止)

第16条 前条第1項に規定する法人等又は市長等、議員若しくは市長等の配偶者等が役員をしている法人等は、地方自治法第244条の2第3項に規定する指定管理者となることができない。

(委任)

第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成21年4月1日から施行する。

(政治倫理の確立のための生駒市長の資産等の公開に関する条例の廃止)

2 政治倫理の確立のための生駒市長の資産等の公開に関する条例(平成7年9月生駒市条例第21号。以下「市長の資産公開条例」という。)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行の際現に市長の資産公開条例の規定により提出されている市長の資産等報告書等で、この条例の規定により提出すべきものとされているものについては、この条例の相当規定により提出されたものとみなす。

4 第5条第1項及び第2項並びに第15条(第1項を除く。)の規定は、この条例の施行の日以後に任期が開始する市長等及び議員について適用する。

5 この条例の施行の日において市長等及び議員である者に対する第5条第3項の規定の適用については、同項中「毎年、12月31日」とあるのは「平成20年12月31日」と、「その年の1年間」とあるのは「平成20年中」と、「翌年の5月1日」とあるのは「平成21年5月1日」とする。

(検討)

6 この条例の規定については、この条例の施行の状況、社会情勢の変化等を勘案し、政治倫理基準の内容の範囲、資産等報告書の提出対象となる者及び記載事項の範囲並びに請負契約等の辞退及び指定管理者の指定の禁止の対象範囲を拡大することについて検討が加えられ、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする。

(平成24年3月条例第15号)

(施行期日)

1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。

生駒市政治倫理条例

平成20年6月30日 条例第25号

(平成24年4月1日施行)