○生駒市男女共同参画推進条例
平成19年9月28日
条例第24号
生駒市男女共同参画推進条例をここに公布する。
生駒市男女共同参画推進条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 基本的施策(第10条―第22条)
第3章 男女共同参画審議会(第23条)
第4章 雑則(第24条)
附則
個人の尊重と法の下の平等が日本国憲法にうたわれており、すべての人が、性別にかかわりなく一人の人間として尊重され、その能力を発揮しながら、のびやかに生きていくことのできる社会の実現は、私たち一人一人の願いです。
男女平等の実現に向けては、国際婦人年以来、国際的な取組が行われ、我が国でも男女共同参画社会基本法が制定され、男女共同参画社会の実現は、21世紀の最重要課題と位置付けられました。
私たちのまち生駒市においても、これまで男女共同参画を推進するため、様々な施策を長期的かつ継続的に進めてきました。
しかし、性別による固定的な役割分担意識やそれを反映した社会通念や慣行、様々なハラスメントや虐待等が依然として存在していること、仕事と家庭の両立への願いが必ずしもかなえられていないこと、また、女性の意思決定の場への参画が十分とはいえないこと等、男女共同参画社会の実現には多くの課題が残されています。
さらに、少子高齢化を始めとして情報化、国際化等の社会環境の急速な変化に伴い、家族や地域社会の在り方も大きく問い直されています。
こうした現状を踏まえ、私たちは、生駒山麓に広がる緑豊かな生駒市を、あらゆる人がお互いを大切にしながら支えあい、生き生きと暮らせるぬくもりのあるまちとするため、男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、ここに、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育関係者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって本市における男女共同参画社会の実現を図ることを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 市民 市内に居住する者及び市内に通勤し、又は通学する者をいう。
(4) 事業者 市内において事業活動を行う法人その他の団体及び個人をいう。
(5) 教育関係者 市内において学校教育、社会教育その他の教育に携わる個人及び法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる基本理念にのっとり、推進されなければならない。
(1) 何人も、性別にかかわらず個人としての尊厳が重んぜられること、直接的であるか間接的であるかを問わず性別による差別的取扱いを受けないこと、及び個人としての能力を発揮する機会が適正に確保されること。
(2) 男女が、互いの性及び身体的特徴に関する理解を深めるとともに、性と生殖に関する個人の意思が尊重され、生涯にわたる健康の保持が図られること。
(3) 家族を構成する男女が、互いの協力及び社会の支援の下に、家族の多様性を理解し、家事、育児、介護その他の家庭生活において家族の一員としての役割を円滑に果たすとともに、地域活動その他の社会活動に対等に参画できること。
(4) 何人も、性別による固定的な役割分担意識に基づく慣習、慣行又は社会制度にとらわれることなく、自己の意思及び責任において活動できること。
(5) 男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(6) すべての市民が、国籍にかかわらず、等しく自らの意思により活躍する機会が確保されること。
(7) 国際的な理解及び協調の下に、男女共同参画が推進されること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を策定し、及び実施しなければならない。
2 市は、男女共同参画の推進に当たっては、国、他の地方公共団体、市民、事業者及び教育関係者と連携を図りつつ取り組まなければならない。
3 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、業務に従事するすべての者に対して職業生活と家庭生活との両立ができるよう配慮するとともに、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(教育関係者の責務)
第7条 教育関係者は、男女共同参画社会の形成に果たす教育の重要性を認識し、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 教育関係者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による人権侵害の禁止)
第8条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、直接的であるか間接的であるかを問わず、性別による差別的取扱いを行ってはならない。
2 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、セクシュアル・ハラスメント(生活のあらゆる場において、他者に不快感又は不利益を与えるような性的な言動をいう。)を行ってはならない。
3 何人も、個人の尊厳を踏みにじるドメスティック・バイオレンス(配偶者、恋人等親しい関係の者からの身体的、性的、心理的、社会的又は経済的な暴力をいう。)を行ってはならない。
(広告物等の表現への配慮)
第9条 何人も、広告物等の表現において、性別による固定的な役割分担意識及び男女間の暴力等を助長し、又は連想させる表現並びに人権を侵害する性的な表現を用いないよう努めなければならない。
第2章 基本的施策
(行動計画)
第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「行動計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、行動計画を策定するに当たっては、生駒市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、行動計画を策定するに当たっては、市民、事業者及び教育関係者(以下「市民等」という。)の意見が反映されるよう適切な措置を講じなければならない。
4 市長は、行動計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前3項の規定は、行動計画の変更について準用する。
(年次報告)
第11条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(推進体制の整備)
第12条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に企画し、調整し、及び実施するための推進体制を整備するものとする。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第13条 市は、男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(調査研究等)
第14条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な調査研究を行うとともに、その成果を当該施策に反映させるものとする。
(積極的改善措置)
第15条 市は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野における活動において男女間に参画する機会の格差が生じている場合には、市民等と協力し、積極的に当該格差を改善するための措置を講ずるよう努めなければならない。
2 市は、審議会等の委員の委嘱等を行う場合には、男女の委員の数の均衡を図るよう努めなければならない。
(広報活動等)
第16条 市は、男女共同参画の推進について、市民等の理解を深めるため、必要かつ適正な広報活動を行うとともに、学習機会等を提供する等の措置を講ずるものとする。
2 市は、男女共同参画に対する関心及び理解を深める取組を市民等に広く周知するため、男女共同参画の推進に関する週間を設ける。
(家庭生活における活動とその他の活動との両立支援等)
第17条 市は、家族を構成する男女が、互いの協力の下に、家事、育児、介護その他の家庭生活における活動と職場、学校、地域等における活動とを両立できるよう支援を行うものとする。
2 市は、子育て支援の強化のために特別な配慮を必要とする者がその個性及び能力を十分に発揮できる機会を活用することができるよう、情報提供、養育環境の整備等必要な支援を行うものとする。
(市民等に対する支援及び協力)
第18条 市は、市民等が男女共同参画の推進に関して行う諸活動に対し、必要な支援及び協力を行うものとする。
(雇用の分野における男女共同参画の推進)
第19条 市は、事業者に対し、雇用の分野において男女共同参画が推進されるよう、情報提供等必要な支援に努めなければならない。
2 市は、多様な就労形態の確保及び就労機会の拡充のため、関係機関と連携して、事業者に対し、情報提供、意識啓発等必要な支援に努めなければならない。
3 市は、必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画の実態を把握するための調査について、協力を求めることができる。
(教育及び学習の推進)
第20条 市は、市民の男女共同参画に対する関心及び理解を深めるため、教育及び学習の機会の拡充、指導者の育成その他男女共同参画に関する教育及び学習の推進に必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、幼児教育及び学校教育において、教育関係者が幼児、児童及び生徒に男女共同参画の推進に関する分かりやすい実践ができるよう支援に努めるものとする。
3 市は、社会教育において、互いに人権を尊重する社会を築くことができるよう、青少年及び社会人に対し、男女共同参画に関する教育を実施するものとする。
(苦情等の申出への対応)
第21条 市民等は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に対する苦情等があるとき、又は性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害すると認められるものがあるときは、その旨を市長に申し出ることができる。
2 市長は、前項の規定による申出(以下「苦情等の申出」という。)があったときは、関係機関と連携して適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 市長は、苦情等の申出に対応するための相談窓口を設置するものとする。
4 市長は、苦情等の申出を適切かつ迅速に処理するため、生駒市男女共同参画専門委員を置き、苦情等の申出に係る事案を調査させるものとする。
5 前各項に定めるもののほか、苦情等の申出及びその処理に関し必要な事項は、規則で定める。
(取組拠点の充実)
第22条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の実施及び市民等による男女共同参画の推進に関する取組の拠点の充実に努めるものとする。
第3章 男女共同参画審議会
第23条 第10条第2項に定めるもののほか、男女共同参画の推進に関する事項について調査審議するため、生駒市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、調査を行い、市長に対して意見を述べることができる。
3 審議会は、委員15人以内をもって組織する。
4 委員は、学識経験のある者、市民その他市長が必要と認める者のうちから市長が委嘱する。
5 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
6 委員の任期は、2年とする。ただし、再任されることを妨げない。
7 委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第4章 雑則
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。
(生駒市の特別職の職員で非常勤のものの報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部改正)
2 生駒市の特別職の職員で非常勤のものの報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(昭和31年11月生駒市条例第12号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略