コラム:景観づくりに役に立つ植栽の仕方

 植栽は日々の暮らしにうるおいをもたらすとともに、季節によって移ろい、様々な表情でわたしたちの目を楽しませてくれます。緑が多い生駒ですが、植栽の使い方を意識し、工夫することはとても大切です。
 ここでは、その基本的な内容を紹介します。

●植栽の種類

・地被類・花卉(かき)類
 いずれも地面に植えられるものです。地被類(芝生など
 )は直接自然に触れることができ、そこで遊び、憩い、
 寝転ぶといった人の活動の場になります。まちの気候の
 緩和などにも役立ちます。花卉類(花)は歩く人々の目
 を楽しませてくれます。

・低木類・中木類
 手近な緑として、花や香りを提供してくれるだけでなく
 、敷地の境界部分に植えることで「まちの整理役」とも
 なります。わずかな土地でも植えることができ、土地と
 人、高木類とをつなぐ役割もあります。

・高木類
 まちに自然の景観を提供してくれるもので、空気の浄化
 や騒音の緩和、防災や都市活動など様々な面で効果を発
 揮します。また、建物との調和にも役立ち、桜を愛でる
 といったレクリエーションの働きもあります。
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鹿ノ台
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●植栽場所の選び方

 樹木の特徴に応じて植裁の場所を選べば、より効果的に緑を見せ、楽しむことができます。ここでは工夫の一例を示します。

・位置とバランスを考える
 平面や立面で見たときに、植裁がバランス良く配置され
 ているかを考えましょう。

・建物との関係を考える
 植裁の位置によって建物の見え方も左右されます。建物
 との関係も考えましょう。

・緑の演出を考える
 視線の集まる場所などに効果的に見せたい緑を置きまし
 ょう。
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出典:『庭木と街路樹』

●樹木の特徴に応じた使い方

樹木には樹形や季節の変化などにそれぞれ特徴があり、それらの特徴を理解の上、うまく景観づくりにいかしていくことが大切です。

<高さをいかす>

・高木類:樹高が高いので目に留まりやすく、シン
 ボルツリーとして使用したり、建物との調和を
 図ったりするほか、街路樹などでまちの骨格・軸
 をつくったりするときに役立ちます。木陰ができ
 るので、足元で人が憩う・行き交うような場所で
 も効果的です。
・低木類・中木類:人の目線と同じ高さであり、演
 出を施して歩く人の目を楽しませることができ
 ます。また、敷き際に植えられることで境界をつ
 くることができ、通りと敷地とをしきる・つなぐ
 役割も果たします。
・地被類・花卉類:土地に定着したもので地面を覆
 うことから人工的な路面の印象を和らげること
 ができます。色とりどりの花は歩く人の目を楽し
 ませてくれます。

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<植生の特徴をいかす>

・針葉樹:濃い緑が特徴で、冬季に葉が落ちません
 。樹形も三角形の形が多くとがった印象であり、
 建物とあわせてシャープに見せたいときに効果的
 です。
・広葉樹:常緑広葉樹は耐陰性が強く、冬季に葉が
 落ちません。落葉広葉樹は冬季に葉が落ちます
 が、色とりどりの四季の変化を楽しむことができ
 ます。 樹形は丸型で枝葉が広がり、全体として
 やわらかい印象であり、建物を緑にとけ込ませる
 ときに有効です。また、木陰ができるので、人が
 通り集まる場所などに使うと効果的です。

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<周りの植生に配慮する>

・樹種を選定するときには、その周りにある樹林地
 や、山すそ・丘陵地の樹種を調べるのも一つの方
 法です。より自然度の高い場所の在来種を選び、
 植えることで、エコロジカルなネットワークの形
 成に役立ちます。
・また、在来の生物と競合して生態系を損ねるよう
 な外来種の使用は避けるようにしましょう。

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<土地に合ったものを使う>

 土地の条件によって、適切な樹種を選びましょう。条件が合わないものを選ぶと、きちんと育たなかったり、維持管理が大変だったりします。
 (例)土地の乾燥の度合い、風の度合い、日当たり など

<敷地の隙間、屋上や壁面などの緑化も取り入れる>

 敷地に余裕がない場合でも、わずかな隙間を活用した緑化も可能です。また、軽量土壌に地被類を使った屋上緑化、登はん型や下垂型の植物を使った壁面緑化などは、普段からの維持管理を心掛けることで、視覚的効果に加えてヒートアイランド対策にも寄与します。

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フェンスの緑化(鹿ノ台)
緑のカーテン(高山町)



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