関西一魅力的な住宅都市をめざして:市長日記

市長、山下真が市民のために奮闘しながら、
思うことを綴っていきます。
          
2009年02月25日

生駒市から新たな公立病院のモデルを

すでにご存じの通り、2月20日、奈良県は(仮称)生駒市立病院に対し210の病床を配分することを決定し、市立病院は開設に向けて大きく前進しました。

同日開かれた県医療審議会は、市内の医療業界への新規参入を好ましく思っていないかのような医療の提供者の側にたった論理で市立病院に病床を全く配分しない答申を出すことにしましたが、県は医療法の趣旨に忠実な当然の判断をしてくれました。今後は、平成24年夏以降の開業を目指して、急ピッチで準備を進めます。

さて、市立病院と聞いて、「赤字になるのでは?」と心配された市民も多かったことと思います。実際、平成16年の総務省のデータでは、65.4%の公立病院(国立は除く)が赤字を出しており、そのような報道が頻繁になされるので、無理もありません。しかし、何故公立病院の多くが赤字になるのか、そこまで分析された方は少ないのではないでしょうか。

よく聞く医師不足や看護師不足のためでしょうか。それとも診療報酬が引き下げられたからでしょうか。

違います。大学からの医師派遣に依存している公立病院が多いとはいえ新しい臨床研修制度の導入による医師不足や、患者7:看護師1の割合で手厚く看護師を配置すれば診療報酬が上がるようになった制度変更により看護師争奪戦が起こっている状況は、民間病院も同じです。診療報酬の引き下げも民間にも共通の事柄です。しかし、厚生労働省の統計では、民間の医療法人が経営する病院はおしなべて黒字となっています。

それでは、救急や小児といった不採算部門を抱えているからでしょうか。

これも違います。救急医療に対しては自治体から相応の補助金が支出されていますし、小児科を持っていても黒字の民間病院はいくらでもあります。

では、何が原因でしょうか。以下のように公立病院には構造的な問題があるのです。
① 経営責任が病院長にあるのか自治体本体にあるのか不明確。
② 病院長に院内の人事権や予算作成権限がなく、リーダーシップを発揮しにくい。
③ 事務職員は役所全体の人事異動の中で定期的に異動するので職員に病院経営の専門知識が乏しい上、外部からの人材登用もない。
④ 医師、看護師、技師、事務職員など病院職員の給与体系が役所と同じ年功序列型となっており、能力に応じた弾力的な給与支給や病院の経営状況や業績を反映した給与支給が困難。その結果、人件費が経営を圧迫している。
⑤ 病院建設、医療機器、医薬品等の調達コストが民間と比べて高い。

以上のような問題があるのであれば、これを一つひとつ解決していけば、公立病院であっても黒字経営は可能なはずです。今回の市立病院計画は民間の医療法人を指定管理者とすることにより、以下のように①から⑤の問題に対応することで、救急、小児といった不採算医療を提供しながらも黒字経営が十分可能と考えています。しかも、立地場所は東生駒駅前という電車でも車でも交通の便の良いところです。

① 市は赤字補填をしないので、経営責任は指定管理者にあることが明確です。
② 市は院内の人事や予算に関与しません。
③ 指定管理者が専門知識を持った事務職員を配置し、また養成していきます。
④ 病院職員は公務員ではないので、公務員と同様の給与体系は採用されません。
⑤ 医療機器、医薬品等は指定管理者が調達し、病院建設は競争性の高い入札によりコストを下げます。

どうでしょうか。公と民のそれぞれの持ち味を出しながら、生駒市から新たな公立病院のモデルを全国に発信していこうではありませんか。