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    北陸新幹線ルート・駅の決定について

    • [更新日:2017年3月30日]

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     北陸新幹線の福井県敦賀以西のルートについて、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)が3月15日に、京都-新大阪間は京都府南部のJR片町線(学研都市線)松井山手駅付近に新駅を設ける「南回り」とすることを決定しました。
     しかし、今回の決定内容とそのプロセスには理解しがたい点があります。


    <ルート・駅の決定について>
     京都~新大阪間については、「南回り」ルートが採択され、松井山手駅付近を経由することとなりました。PTでは、その大きな根拠として、費用対効果が1.0以上となることを挙げています。
     PTでは、当初、「南回り」案として精華・西木津地区経由ルートを有力候補として想定していましたが、このルートの費用対効果が0.9であり、1.0に満たないため不適格としました。しかしながら、この費用対効果の計算には、奈良市付近に設置される予定のリニア中央新幹線の駅及びその周辺部の発展による地域開発効果は算入されていません。
     このような費用対効果の算定に当っては、不確実な将来の変動要因を見込まず算定するのが原則のようです(平成28年11月11日及び平成29年3月7日国土交通省鉄道局 「北陸新幹線京都・新大阪間のルートに係る調査について」参照)が、リニア中央新幹線の奈良市付近の駅の設置や新大阪駅までの開業は平成49年度の予定であり、北陸新幹線の南ルートの開業(平成58年度予定)の9年も前です。
     北陸新幹線を建設し、駅を設置するのであれば、その前に開業しているであろうリニア中央新幹線による開発効果を考慮するべきです。

     単純に考えても、奈良市付近に予定されるリニア中央新幹線の駅から、北陸新幹線の松井山手駅までは大きく離れています。両新幹線のルート及び駅相互間のシナジーによる利便性の向上や経済効果を考えたとき、松井山手駅ではその効果が限定的になるのは明らかです。
     多額の税金を投入し、関西ひいては日本全体の将来のために整備する北陸新幹線、そしてリニア中央新幹線の効果を考えたとき、両者をセットにして、相乗効果をしっかりと確保することは当然ではないでしょうか。

     なお、北陸新幹線の終着駅として、新大阪駅だけでなく、京都から精華西木津地区を経由して、関西国際空港にも延伸することが仮に可能となれば、インバウンド観光客を空港から直接、奈良、京都、北陸に迎えることが可能となります。
     また、東日本大震災以降、災害に強く首都機能のバックアップが可能な「副首都」的な役割が期待されるけいはんな学研都市は、現在多くの企業誘致が進み、研究拠点や奈良先端科学技術大学院大学などもあることから、AIやIoT、ロボティクスなどの産業革命4.0の拠点としても成長を続けています。観光はもちろん、ビジネス拠点としての存在感も増しており、持続可能な形での海外からの集客が見込まれます。
     このあたりの状況を日本全体の視点で考え、北陸新幹線やリニア中央新幹線の駅やルートについても考えていくべきです。



    <ルート・駅の決定プロセスについて>
     もう一つ、釈然としないことは、今回のルート決定に際し、関係市町村の声が聞かれていないことです。
     PTでは、関係都道府県の意見は聞かれたものの、市町村が意見を述べる機会がなく、北陸新幹線に係る情報も国土交通省のウェブサイトで事後的に得たり、メディア報道で初めて知ったり、というのが実情でした。
     11月24日に、奈良県知事が与党の検討委員会(PTの下部組織)で、けいはんな学研都市を経由する案(精華・西木津地区経由)については、「財政負担に見合うメリットはない」と反対を表明されたことも、突然、メディア報道により知ったもので、このように、PTや奈良県による関係市町村に対する事前の情報提供や意見聴取の機会もありませんでした。
     そのような中で、生駒市として、北陸新幹線のルートや駅の位置などについて適切なタイミングで適切な意見を述べることが出来なかったことは残念です。独自の情報収集をもっと行うべきであった点は我々としても反省していますが、地方創生を掲げる中、関係市町村が意見を述べる機会すら与えられないのは問題ではないでしょうか。
     私も、昨年12月20日の定例記者会見で、報道各社に意見を述べましたが、「もはや、精華西木津地区経由ルートは可能性がないのにいまさら・・・」という声もあり、記事になることはありませんでした。



    <さいごに>
     現在、奈良県では、奈良市、生駒市、大和郡山市がリニア中央新幹線の奈良市付近駅の候補地となっていますが、名古屋-新大阪間で最も直線に近い最短ルートである、けいはんな学研都市付近を通るルートが自然と考えています。
    奈良県知事は、北陸新幹線のけいはんな学研都市を経由する案について反対を表明されましたが、私は、リニア中央新幹線が奈良市付近を通ることを考えれば、北陸新幹線の精華・西木津地区を経由するルートを要望しつつ、リニア中央新幹線との連携効果を具体化していくことが望ましかったと考えます。

     さらにいえば、今回、「南回り」ルート及び松井山手駅付近に駅がつくられることにより、今後、京都府は、「奈良市付近に駅を作るよりも、松井山手駅の近くにリニア中央新幹線の駅をつくるほうが北陸新幹線との連携効果が出て、費用対効果が高い」という経済効果分析を行い、リニア中央新幹線の駅を京都府にもってくるべきであるとの主張を積極的に展開する可能性があります。
     今回の決定が、リニア中央新幹線のルートや駅の誘致においても奈良に不利、京都に有利に働く結果となってしまうのではないか、と心配しています。

     最後に、生駒市としては、引き続き、リニア中央新幹線と北陸新幹線などの公共交通機関による効果も踏まえながら、学研高山地区第2工区を含むけいはんな学研都市地域のさらなる発展につなげていけるよう、関係者のご理解・ご協力を得ながら取組を進めてまいります。

    [公開日:2017年3月30日]

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